メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

台湾・蔡英文総統の就任で何が変わるか?

「台湾は中国ではなく台湾」という民意と両岸関係

藤原秀人 フリージャーナリスト

 台湾の総統に5月20日、民進党の蔡英文氏が就任した。当時国民党だった李登輝氏が1996年に初の直接選挙で当選してから、民進党の陳水扁氏、そして国民党の馬英九氏が総統を務めてきた。

台北で20日、就任演説に臨む台湾の蔡英文総統=熊谷俊之氏撮影就任演説をする台湾の蔡英文総統=2016年5月20日 撮影・熊谷俊之氏
 国民党→民進党→国民党→民進党と、政権交代が平和的に続いたのは、台湾で民主主義が着実に根付いていることの表れだ。

 一方で、世界が注目するのは、蔡政権になって、台湾海峡両岸関係がどうなるかだ。

中国と向き合い、日本と交流した馬英九氏

 中国が台湾に向けて弾道ミサイル演習をしたり、米国が空母を派遣したりと、緊迫したこともある両岸関係が安定したのは、馬政権になってからのことだ。

 湖南省出身の父を持つ馬英九氏は香港で生まれ、台湾で育った。

 「新台湾人」を名乗ったこともあったが、中国人としての意識は強く、若いころには、台湾で「釣魚台」と呼ばれる尖閣諸島を取り戻そうという「保釣」運動に深く関わった。

 総統になってからも「釣魚台は日本が盗んだもの」と発言するなど、民族意識の強さは変わらなかった。

 だから、日本では馬氏を「反日」と見る人が少なくない。筆者は李、陳、馬、そして蔡の4氏に何度か会ったことがある。

・・・ログインして読む
(残り:約2452文字/本文:約2966文字)