勝負を分けた、待機児童・防災都市計画の具体策
2016年08月05日
7月31日に行われた東京都知事選挙の結果は、小池百合子氏の圧勝に終わった。
しかし、現に国基準の認可保育所、2001年に始めた都独自の基準の認証保育所合わせて25万人を超える定員をもっているのに、待機児童問題を解決できないのはなぜなのか。ここに都民のいらだちがあり、争点となったのは必然であった。
施設の量的拡大ではなく新しい保育システムの創設が求められているのに、従来の制度を踏襲して少しずつ施設を増やしていく行政手法では解決できないのであって、都知事選挙の争点となることによる政治的解決が求められたのである。
待機児童をもっている親は1年も2年もかかる保育所の増設を待てない。だから候補者が「全力で充実します」と決意を示しても、その具体的方法を示さないと説得力をもたない。待機児童を解消するための方法を示さないと候補者の能力も資質も熱意も有権者に伝わらない。
空き家活用や有資格者の呼び戻し、規制緩和など、小池氏は具体策に一歩踏み込んだ発言をしていたように感じられた。ほかの政策分野においても、大きな政党の支援を受けていない小池氏が最も具体策を語ろうと努めているように見えたのはなぜなのか。
たとえば小池氏の2階建て電車発言の実現はかなり難しいと思うが、しかし電車の混雑解消は都民の切実な願いであり、小池氏の思いは伝わってくる。
豊洲から住吉に行く地下鉄8号線は東西線等の混雑解消に効果があるし、秋葉原から東京駅や銀座を通って臨海副都心に行く地下鉄建設も具体的な課題だが、残念ながら争点とはならなかった。これらの路線をはじめ懸案となっている鉄道路線はいくつもある。今後、どの路線を優先整備するのか、小池都知事には決断が迫られることになる。
主要な候補者は誰しも防災対策を政策の一つの柱としていた。東京の場合は、密集住宅地が多く、大地震の被害想定をすると火災の犠牲になる人が多いという結果になる。1923年の関東大震災、1945年の東京大空襲と2回も大火で多数の犠牲者をだしている東京だが、現代でもその危惧は消えていない。
だから東京の防災対策では防火対策が大きな柱となる。初期消火も大切だが、消防自動車が入り動くことができるよう細街路をなくしていくことが大切だ。建物の耐震化・不燃化は各候補者とも政策に掲げていたが、消防自動車が通れるよう、密集住宅地の道路すなわち区や市の道路を幅4メートル以上に広げていくことが東京の防火対策の決め手となる。残念ながらこの点も争点として明確にならなかった。
私道の拡幅は住民の抵抗も強い。しかし都民の安全を語るなら、言いにくい政策も掲げるべきだ。実はそのほうが都民の信頼を得やすいのではないか。この点は選挙の課題である。
小池氏の無電柱化は、都道を対象としていたようだが、
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