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連合は自民党とのパイプづくりをしている場合か

選挙で敗北続き。原点に立ち戻って再出発を

五野井郁夫 高千穂大学経営学部教授(政治学・国際関係論)

 われわれは、政権を担いうる新しい政治勢力の形成に協力し、政権交代を可能にする健全な議会制民主主義を実現する。(日本労働組合総連合会『連合規約集』、2015年、4頁)

 ちょうど先の参院選が終わった頃、情報労連の機関誌から、「労働運動の側から参院選の結果を評価するか」というテーマでインタビューをされたことがある。そこでは民進党の最大の支持団体である連合に対して、以下のような苦言を呈した。

 現在、連合の姿勢が見えづらくなっている。連合は自分たちの支持基盤がどこにあるのかを見つめ直し、旗幟を鮮明にすべきだろう。組織の中での葛藤は十分理解するが、それでは市民社会へのアピールが弱いと言わざるを得ない。市民社会にアピールできないことで労組の影響力が低下していることも否めない。厳しい言い方になるが、連合は自分たちが誰によって評価されているのかを再確認してほしい。

連合の神津里季生会長拡大政権との協調姿勢をとる連合の神津里季生会長
 しかし連合の神津里季生会長は、10月26日夜、自民党の二階俊博幹事長と新宿にある京王プラザホテルの日本料理店「蒼樹庵」で、林幹雄幹事長代理と森英介労政局長も同席して会談し、今後も政策勉強会などを開き意見交換していくことで一致したという。

 ようやく連合は自分たちの旗色を鮮明にしたと言うべきだろうか。

 なお過去にも連合は第2次安倍政権発足後の2013年3月にも、自民党との定期協議開催で一致しているが、冒頭に挙げたのは、2015年11月17日に発行された『連合規約集』の13番目の基本目標である。

 現政権とのあからさまな協調姿勢をとるというのは、同目標に掲げられた「政権を担いうる新しい政治勢力の形成に協力」すること、そして「政権交代を可能にする健全な議会制民主主義の実現」に、1年も経たないうちに自ら背を向けたのだと、社会から受け取られても仕方ないだろう。

自民・連合会談の政治的効果

 近年、連合はセルフイメージに悩んでいた。「2016-2017年度 運動方針」をながめてみると「自らを問う 『連合』は、どういう存在になっているのか」や「頼られる存在と映っているのか?」など、世間からどう見られているのかをしきりに気にしていたようだが、もう心配することはないだろう。

 世間はこうみてくれているはずだ。 ・・・続きを読む
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筆者

五野井郁夫

五野井郁夫(ごのい・いくお) 高千穂大学経営学部教授(政治学・国際関係論)

高千穂大学経営学部教授/国際基督教大学社会科学研究所研究員。1979年、東京都生まれ。上智大学法学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了(学術博士)。日本学術振興会特別研究員、立教大学法学部助教を経て現職。専門は政治学・国際関係論。おもに民主主義論を研究。著書に『「デモ」とは何か――変貌する直接民主主義』(NHKブックス)、共編著に『リベラル再起動のために』(毎日新聞出版)、共訳書にウィリアム・コノリー『プルーラリズム』(岩波書店)など。

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