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 衆議院解散総選挙の時期が話題になっている。一時期、強い解散風が吹き、早期の衆議院解散は避けられないといわれたが、ここにきて安倍首相も二階自民党幹事長も急にトーンダウンしている。朝日新聞DIGITAL(11月24日)に二階派の会合での二階氏の発言が掲載されている。「すぐ今解散する、というふうなことはないことは、大体このなぎの状態で分かっていると思いますが、一日も一刻も油断をしないで」。年内解散はないとにおわせながら、油断するな、というのだから、言葉をまともに受けるわけにはいかない。安倍首相周辺が「解散はない」と言えば言うほど、解散のサプライズ効果を狙っているとも考えられる。

拡大参院TPP特別委で答弁する安倍晋三首相=12月1日
 私は12月末解散、1月総選挙が最も可能性が高いと言ってきたし、今でもこの線が最もあり得ると考えている。もちろん1月国会冒頭解散、2月総選挙の可能性もある。早期解散としてはこの2つのパターンが考えられている。解散はさらに延ばされると主張する人もかなりいるが、私はこの12月か1月の解散になると考えている。

 ただここにきて予期しない展開もある。まずはトランプ氏のアメリカ大統領選での勝利により、アメリカがTPPに加盟しないことがほぼ明確になったことだ。アベノミクスの次のステージにおいてTPPは一つの目玉であった。日米を基軸とした自由貿易を進め、「攻め」の貿易政策を展開することが日本経済の活性化につながるはずであった。アメリカ抜きのTPPも意味がないわけではないが、迫力不足の感は否めない。

難しい北方領土問題の進展

 第2の誤算、あるいは誤算になりうるのは北方領土問題の進展である。日露首脳会談の日本での開催は、北方領土問題の進展を期待させている。少なくとも2島返還があり、日露平和条約の締結への道筋が見え、日露間のダイナミックな経済協力ができるのではないかという見方があった。しかしこれまでのプーチン政権の言動からすると、北方領土問題の進展はほとんどないと思われる。北方領土問題の歴史的な進展の直後に、衆議院解散総選挙というシナリオは今のところ難しそうだ。

 また日中韓首脳会談の開催も微妙になっている。これはいうまでもなく、韓国での崔順実ゲート問題の浮上だ。朴槿恵大統領の弾劾訴追が現実的になっており、韓国情勢は目まぐるしく変化している。朴大統領の代理の出席は可能ではあるが、常識的に考えれば状況がより明確になってからの開催となるだろう。日本にとって中国・韓国との冷えた関係を修復することは大きな意味がある。日中韓首脳会談はそのための象徴的なものとなるはずだ。安倍外交の成果の一つになるものだが、おそらく延期されることになるだろう。たとえ開催されたとしても、3カ国の中の1カ国の首脳が代理では迫力不足だし、準備も整っていないことから成果は限定的にしかならない。

 さらに、OPEC(石油輸出国機構)が8年ぶりとなる減産に踏み切ることで最終合意したと発表し、今後、原油価格の上昇が予想される。これは日本経済にとっては逆風となる。ガソリン価格の値上がりなどは消費者の懐に直接的に響くし、製造業や運輸業にも負担増になる。安倍自民にとってマイナス要因だ。

それでも安倍首相は早期解散に踏み切る

 確かにこうした逆風はある。しかしそれでも私は安倍首相は早期解散に踏み切ると予想している。

 まず第1にこの程度の与党への逆風は、仮に選挙を延期してもありうることだ。むしろ延びれば延びるほど、 ・・・続きを読む
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筆者

児玉克哉

児玉克哉(こだま・かつや) 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

三重大学副学長・人文学部教授などを歴任し現職。専門は国際平和論、市民社会論、NGO論など。国際平和研究学会の現事務局長でもあり、世界の平和研究の中核を担っている。グローバルな視点から社会科学の発展に寄与している。核兵器廃絶へ向けた「ヒロシマ・ナガサキプロセス」を提案し、世界的な運動を繰り広げている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。

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