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<3・11>以降の僕らは、全員がギルティなのだ

11月29日(火) 朝早く、沖縄の知人たちから続々とメール。翁長雄志知事の高江ヘリパッド「事実上容認」発言の衝撃と同時進行で、警察によるガサ入れと山城博治氏らの再逮捕など一斉強制捜査が始まっているという。彼らは年内にもヘリパッド反対派を一気に殲滅するような動きをしている。まるで特高警察のようなやり口だ。東京のマスメディアはほとんど無反応。系列局は一体何をしているんだろう。東京の編集部デスクにきちんとネタとして申告しているんだろうか。沖縄出張に出ていたSが、けさの沖縄タイムス、琉球新報の紙面を写メで送ってきた。

 局の定例会議のあと、元信越放送のNさん。午後2時半から韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領のTV会見。虚像が次々に剥がされて、もはや退陣は時間の問題なのだが、この会見で本人が初めて「退陣する」と口にした。これで彼女の政治生命は完全に終わった。あとは極論すれば、スケジュールとスタイルの話となる。今週のネタの差し替えが決まった。

 20時過ぎからCSの収録。ホンジュラスのギャング集団「マラス」をテーマとしたノンフィクション作品で、今年の開高健賞を受賞した工藤律子さんをゲストに。工藤さん、篠田有史さんのお二人と知り合ったのは1990年代の初めのこと。当時からメキシコのストリート・チルドレンやサバティスタ蜂起を取材していた。深夜まで歓談。

11月30日(水) 鴻上尚史の新作『サバイバーズ・ギルト&シェイム』を紀伊国屋ホールで。心のどこかで、南スーダンへの自衛隊派遣と重ね合わせながら舞台をみてしまう。サバイバーズ・ギルト。生き残ってしまった者の罪悪感。<3・11>以降の僕らは、ある意味で全員がギルティなのだが、その罪の意識を完膚なきまでに抹消しようとしているのが今の為政者たちではないのか。新宿で詩集出版についてH氏と打ち合わせ。

高嶺剛の新作、ぶっ飛びぶりが心地よい

12月1日(木) 高嶺剛監督の新作映画『変魚路』。『パラダイス・ビュー』『ウンタマギルー』以来の高嶺ファンとしては、現下の沖縄情勢を想いながら、この映画と向き合わざるを得ないのだ。ぶっ飛んだ映画だった。そのぶっ飛びぶりがとても心地よい。とりわけ映画フィルムをイラブー汁に漬け込んでいたシーンは、世界中あまたの映画作家がいるなかで、高嶺剛以外に誰一人としてこんなイメージを創りえた人はいないだろう。

 16時30分から保阪正康氏へのインタビュー。天皇の生前退位をめぐって。およそ1時間、とても実質的かつ刺激的なお話をうかがうことができた。夕方、ひどく不愉快な出来事に遭遇。いいことばかりは、ありゃしない。何だか何もかもどうでもよくなった。新宿ピットインで「渋さ知らズ」。頭のなかの怒りと、眼前で展開されているとんでもなくぶっ飛んだ演奏とで時間を忘れた。酒場でケンカをした。何やってんだか。

12月2日(金) 朝日新聞が一面トップで、NHKの籾井勝人会長再任困難を報じる。後任の最有力まで出していて、これはどこの部が書いた原稿だろうか。

 不愉快なことを忘れるには、 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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