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[19]韓国の超大型デモを日本人は誤解している

「韓国の政変」から学ぶべきこと(1)

伊東順子

日本のワイドショーは、わかっていない

 「またもや韓国に政治の季節がやってきたのだろうか」と、このWEBRONZAに原稿を送ったのが10月末。それからちょうど1カ月、事態は予想をはるかに超えるものとなった。朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持率は4%まで下がり、街頭では200万人を超える人々が「即時退陣」を訴える。

 与野党が党利党略に揺れる中、半ば居直った風情の大統領は、あろうことか自分の身の振り方を国会で決めろと命じた。まったく噛み合わない巨大な歯車。片方はすでに摩耗し空回りをしているのに、自ら止まろうとはしない。

 12月8日、国会は弾劾を決めた。大統領の職務は停止され、国務総理が代行の任についたが、その総理に対してもデモで「辞任要求」の声が上がっている。混乱はまだまだ続きそうだ。

韓国・大邱市で10日、「朴槿恵を拘束しろ」と書いた紙を掲げる集会の参加者たち20161210拡大弾劾訴追案が国会で可決されても、「朴槿恵を拘束しろ」と書いた紙を掲げて、集会は続く=2016年12月10日、韓国・大邱市で

 こんな政治状況でも、人々は日常を生きる。しかも韓国人は相変わらず勤勉だ。関連ニュースに「☓☓☓!」(韓国語で最大級の罵倒。メディアでは伏せ字となる)と怒りながらも、会社員は早朝から満員電車に乗り込み、子どもたちも夜遅くまで塾に通う。

 さらに、今はキムジャンシーズン、あちらでも、こちらでも、女性たちが大量のキムチを漬け込んでおり、在韓外国人もご相伴にあずかれる。

 「今年は白菜が高くてね。それも腹が立つ(笑)」

 「今日はキムチを漬けるから豚肉を茹でて待ってな!」

 隣家のおばあちゃんは毎年、こんなふうに言う。キムジャンの夜には、ゆで豚とコッチョリ(白菜の切れ端の即席キムチ。これが美味しい!)で一杯やるのが韓国風。みんなでわいわいやるのは、日本の餅つきにもちょっと似ている。

 とても勤勉な人々、それを可能にする強靭な肉体、その基本にある健全な食生活、これが韓国の底力だ。

 日本のワイドショーなどでは、上から目線で韓国を揶揄するシーンも多いけれど、わかっていないなと思う。その反対に、これぞ「成熟した民主主義」と超大型デモに興奮するのも、 ・・・続きを読む
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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

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