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小池知事と日本維新の会の結合はあるのか?

政界再編にもつながる激震の可能性

児玉克哉 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

 東京都が揺れている。その震源地は小池百合子知事だ。「小池塾」こと希望の塾で小池新党の可能性を示唆し、これから新たな展開が予想される。幾つかの大きなポイントがある。

1.7人の侍への除名処分

「希望の塾」で講義する東京都の小池百合子知事=12月10日、東京都港区
 まずは、東京都知事選で小池百合子氏を支援した7人の区議、いわゆる「7人の侍」に対して自民党都連が自民党からの除名処分を下したことだ。もちろんこれは自民党都連が一方的に下したという感じではなく、むしろ7人の侍がそうなるように行動したともいえる。自民党本部は、小池知事との連携を模索しており、7人の侍に会談の機会や弁明の機会が呈された。7人の区議の処分問題で、仲裁に乗り出した二階幹事長の食事会を小池都知事は断った。表向きの理由は「わざわざ大幹事長にご慰労いただくなんてめっそうもない」ということだが、自民党から距離を置きたいという姿勢の表明だ。

 また、7人の区議には身上書の提出の機会が与えられた。弁明書の提出と言い換えていいだろう。7人の区議は、身上書の内容によって処分に違いが出る可能性があるので、提出を拒否したというが、それなら7人の身上書を同じ内容にすればいいだけの話だ。「東京都は五輪などの大事業を行うにあたり、小池氏のような改革を目指す知事が必要だと、都民の視線から感じた。党の決定に結果として背くことになり申し訳なかったが、なにとぞ御理解をお願いします」といった内容を書いておけば良かったのでないか。それをどう評価するかは自民党次第だが、おそらく身上書をきちんと出しておけば、処分は大幅に軽減されただろう。それを断ったということだ。小池知事と7人の区議は、自民党都連と戦うことを宣言したとも言える。そして自民党都連はその戦いを受けて立つという姿勢を示したことになる。

2.東京五輪会場

 小池知事は巨額のコストを鑑みて、2020年東京五輪・パラリンピック会場の見直しを提起した。ボート・カヌー競技が行われる海の森水上競技場、水泳のオリンピック・アクアティクスセンター、バレーボールの有明アリーナの3会場が対象として、調査が行われた。確かに膨大な予算がかかることが分かり、問題があることは多くの人が感じた。しかし、今となって会場の整備計画を変更するのはやはり難しく、結局は当初の案がそのまま通る見通しとなり、小池知事の敗北という見方もある。しかし、この問題提起によって予算はかなり削減されたし、今後の経費の膨らみも抑制されることになったといえる。五輪会場の整備においては利権の匂いを感じたことは確かだ。小池知事は、この会場の見直しがうまくいかなかったことを踏まえて、利権勢力との徹底的な戦いの必要性を感じたのではないか。五輪会場の見直しの難しさを肌で感じ、制度の「修正」で済むものではなく、根本的な改革が必要だと思ったと察せられる。

3.豊洲新市場問題

 豊洲新市場問題でも同様のことが言える。築地市場から豊洲新市場への移転においては、主な施設下に盛り土がなく、いわゆる「地下空間」があることがわかった。汚染物質も検出されたことから不信感が高まった。この事業も膨大な予算がかかっており、ここでも利権の問題が論じられた。結局は、ここまで施設が完成している中では、やれることは限定的であり、おそらくは安全性の再確認や小規模の改良で終わることになりそうだ。豊洲新市場の施設の問題以上に、そこに至った根本的な体質の問題を取り除くことが必要だということを感じたのだろう。徹底的な戦いを挑むしかない。

4.政党復活予算の制度廃止

 来年度の予算編成をしていくにあたり、東京都だけが行ってきた政党復活予算の制度を見直すことも大きなポイントだ。これは確かに私も驚かされた。政党が復活予算の権限を持っているというのは、まさに利権を握らせていると言っても過言ではない。この制度がずっと慣例的に行われてきた東京都議会のあり方にも疑問が投げかけられた。ただ、廃止される方からすれば、

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