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パイプラインの建設予定地の近くで11月26日、ネイティブアメリカンの祈りを聞く抗議者。川の向こうには鉄条網が張られている=米ノースダコタ州キャノンボール付近拡大パイプライン建設予定地の近くで祈る先住民。川の向こうには鉄条網が張られている=2016年11月26日、アメリカ・ノースダコタ州キャノンボール付近、撮影・朝日新聞社

確実に衝突が…

1月24日(火) 朝、CNNを見ていたら、何とトランプ大統領が、ダコタ・アクセス・パイプライン(Dakota Access Pipeline=DAPL)とキーストーンXL・パイプライン(Keystone XL Pipeline)の建設工事再開を命じる大統領令に今日署名するというニュースをやっているではないか。何というタイミングだ。ホテルを朝9時に出て、先住民たちにとって聖なる湖であるレイクオアヘをめざすが、どこも真っ白な雪原で何もみえない。湖面はとっくに凍りついていてその上に雪が降り積もり何もみえないのだ。雪と灌木以外には何もない世界。道路標識も信号もない。さすがに風に吹きつけられて寒い。ホカロンを体にいくつか貼りつけて動いた。

 プロテスターたちがテントを張って抗議活動の拠点としているキャノンボールのキャンプ地へと移動。みたことのない光景が目の前に現れた。最も多い時で5000人ほどが集まったというが、今はそんなにいない。それでも200人~500人と人によってまちまちの数字を言う。キャンプは本当に三角型の単純なものからかなり大型のドーム型のものまでさまざまだ。トランプの大統領令を受けて何らかの動きがあるかもしれない。と思っていたら、キャンプ内のドーム型テントで国連人権理事会傘下の作業部会が昨日カジノホテルでやっていたヒヤリングの続きを行うという。その冒頭、ヒヤリングの担当者ジュディス・ルブランがトランプの大統領令を批判する発言を行った。何というめぐりあわせだろうか。

 午後になって警備のヘリコプターが非常に低空でキャンプ上空を飛びだしているのに遭遇した。威嚇的な動きのようにもみえる。かつてプロテスターたちと警備側が大規模に衝突した橋付近は「祈りを捧げる目的以外では近づくな」と言われる。僕らは車から降りて徒歩で橋のそばまで近づいた。橋の手前にロープが張られていて、向こう岸の丘の上に警備の車両がこちら向きに数台とまっているのがみえた。これは近い将来確実に再び衝突が起きるなと直感した。何しろ大統領のお墨付きを得たのだから工事事業者は強硬な手段を使ってでも抗議活動を排除するだろう。何だか言いようのない緊張した空気が漂っているのだ。

 撮影を終えてその後ビスマルクの州政府の庁舎に行き、リポート。この3日間ろくなものを食べていないので、この町で最も古いというレストランで腹ごしらえ。客にマイノリティ(アフリカン・アメリカンやアジア系、ヒスパニック系)は僕ら以外に一人もいなかった。このビスマルクの住人の水道の水源近くをパイプラインが通る当初の計画は住民の反対ですんなり変更されたいきさつがある。先住民居留区近くなら通していいのか。いろいろな意味で沖縄の高江・辺野古の構図と二重写しに思えてくる。

1月25日(水) ビスマルクは冷たい感じの街だった。再び訪れたいとは思わない。きのうの夜、ワインをガブ飲みしてしまったので、眠りが浅いまま午前3時頃に目を覚ましてしまった。6時にチェックアウトするので、そのまま起きていた。朝食をとりに階下のダイニングルームに行くと、前とは違う白人の太った女性がいた。朝食の係なのだろうが不機嫌そうで、お早うと言っても返事も返ってこなかった。

 朝早くのNBC系列KFYRのローカルニュース番組をみていたら、スタンディングロックのプロテスターたちが身を護るためにマスクや覆面で顔の一部を隠していることを揶揄する放送を流していた。ローカル局の記者が最後には顔にスッポリと動物の被りもの(マスク)をつけてリポートまでしていた。なるほどメインストリーム系列のローカル・メディアはここまでひどいのか、と ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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