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[20]『大東亜戦争』『足跡姫』……

金平茂紀

2月7日(火) 先週のダコタの先住民の特集について反響が思った以上にあって、メールをいただいた。局で定例会議のあと、CSのTBSニュースバード「ニュースの視点」で『敢えて空気を読まないという選択の必要 二兎社「ザ・空気」をめぐって』を生放送で。永井愛さんとのポスト・トークも含めて紹介した。現実と演劇の境目がわからなくなった時間が過ぎたからには、しっかりと仕事をして、かつ取材を進めていくのだ。頭の中がオーバーフロー気味なので少しぼんやりしていよう。

 夜、恵比寿の写真集食堂「めぐたま」。M氏、H氏と。下手な英語を喋り続けて疲れた。店に置かれている写真集の中に偏愛している写真家のものがたくさんあって、ついつい手に取りたくなってしまうのだ。橋口譲二、アラーキー、森山大道、東松照明、石川真生……。

え? 今とどこが違う?

2月8日(水) 早稲田の成績確定作業。「毎日新聞」記事。トランプショックは他人事か? 『創』の森功の記事「NHK新会長決定をめぐる知られざる舞台裏」がなかなか面白い。

 夕方から、座・高円寺ドキュメンタリー・フェスティバルで、是枝裕和セレクションとして、故・大島渚氏の幻のドキュメンタリー、日本テレビで1968年に放送された<20世紀アワー>『大東亜戦争』が上映された。そのポスト・トークで、放送評論家の鈴木嘉一さんとご一緒する。思った以上に観客がいた。とにもかくにもすごい作品である。まるで今現在の日本の報道のネガを見ているようだ。「海行かば」の歌がバックに流れるなか、神風特攻隊の部隊名と戦死者数が延々と読み上げられるシーンが圧巻だ。終わって見ると「大本営発表」が頭の中でリフレインしている。それにしても、このナレーションの主語は何者なのか? <国家>である。ニュース原稿の主語が<国家>であった時代。え? 今とどこが違う? 上映会後、高円寺駅近くの居酒屋で懇親会。なぜかそこで、吉永春子さんの話になった。彼女は、<群れない、現場の、コワい>放送人だった。ホッピーを飲み過ぎる。何やってんだか。

2月9日(木) 早朝便で沖縄へと向かう。ところが出発が遅れる。その上、那覇空港近くで滑走路が混み合っているとのことで上空を20分近く旋回。結局30分近く到着が遅れたのだった。中城村でKさんと取材打ち合わせ。非常に有意義な時間を過ごす。その後、辺野古へ。今日は強風が吹いていて、トンブロックの投下作業は中止になっている。波が本当に高い。それにしても久しぶりに目にした辺野古、大浦湾はすっかり様変わりしていた。防衛省沖縄防衛局が設定した赤い浮きで囲まれた海域の範囲がとても広くなっていた。夜、那覇で旧知のOさん、Yさん、Hさんと情報交換。翁長県政の手詰まり感をめぐって意見を交換しあう。意外に寒い。人出が少ない。

こんなに演劇をみるのは……

2月10日(金) 那覇の沖縄第一ホテルで目が覚める。外の天気は今日も強風が吹き荒れていて悪い。辺野古の海上工事はこれで今日も止まるだろう。朝の便で那覇から東京に戻る。機中で「沖縄タイムス」に掲載された生井英考氏のトランプ現象をめぐる論考を読む。ウォルター・リップマンは「有権者の意見をそのまま『公益』に資するものとは見なせないとしたのである」。彼は「大衆世論を扇動する『民主的政治屋』の台頭を強く戒めた」とある。飛行機が30分も遅れてしまって、座・高円寺ドキュメンタリー・フェスティバルの三上智恵さんの講演にまにあわず。残念だ。昨日といい今日といい、那覇空港の民間機の離発着で遅延が日常化している印象だ。ちなみに那覇空港は軍民共用空港である。

 15時から『マスコミ市民』の石塚さん。絶望を直視するところからしか何も始まらないということを話す。夜、池袋の東京芸術劇場でNODA・MAP『足跡姫 時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)』をみる。 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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