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トランプ政権はいつまで持つのか

じわりと高まるペンス副大統領への期待

児玉克哉 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

 トランプ大統領の衝撃はすさまじい。就任して僅かなのに、トランプ旋風が吹き荒れている。そもそもトランプ氏が共和党予備選を勝ち抜くと予想した人はほとんどいなかった。そして本選も制すると予想した人は更に少なかった。私も予想を裏切られた一人だ。大統領になれば、就任前の過激な発言も和らぐだろうという見方が強かったが、その予想も外れたと言っていい状態だ。あまりに多くの敵を作り、「反トランプ」の嵐が吹き荒れている。国内だけでなく、世界的にも厳しい状況だ。安倍首相はその中で数少ない「友人」の首脳といえる。2泊3日のゴルフ交流は日本でのトランプ大統領への不安を和らげるものであり、日本では一方的に反トランプ論があるわけではない。しかし、中南米、イスラム諸国、ヨーロッパなどでは強い反発がある。

世界的にも強まるトランプ大統領への反発

拡大トランプ氏と握手するペンス副大統領(左)=オハイオ州、ランハム裕子撮影
 この状況は、8年前のオバマ大統領誕生時とは全く反対といえる。オバマ大統領は国内外から大きな期待で祝福されてスタートした。トランプ米大統領の就任直後の支持率は45%で過去最低であったのに対して、オバマ大統領は68%だった。さらに、オバマ大統領は就任後すぐに、核兵器廃絶を訴えたプラハ演説によってノーベル平和賞まで獲得した。世界が期待で祝福されたオバマ大統領に対して、トランプ大統領はアメリカ国内だけでなく世界から不安と嫌悪で反発されている。

 私の大学関係のアメリカの友人の中には「トランプを引きずり下ろすまではトランプ批判を続ける」と強い反発を示す者も少なくない。執念めいたものさえ感じる。メディアや知識人層は、強く反トランプになっている。共和党支持者の中にも反トランプ派がかなりいる。大統領就任前にも米国内の反トランプ運動は激しかったが、就任後はさらにヒートアップしている。国際的にもすでに敵視している国が多い。最も友好的なのが、安倍・日本といえそうだ。それにロシアやイスラエルが親トランプ政権として挙げられる。ヨーロッパではイギリスがEU脱退後をにらんで、米英連携を模索しているが、イギリス国内での国民の反発も強く、微妙だ。

 トランプ氏の就任後1カ月での政策展開は、あまりに急で雑であったといえる。大統領就任後すぐに、メキシコ国境の壁、イスラム7カ国の国民に対して入国禁止、シリア難民の入国の禁止など矢継ぎ早に刺激的な政策を展開した。世界的な混乱も起こしたし、何をするかわからないという不安感を多くの人に与えた。ラテンアメリカ、イスラム諸国、ヨーロッパ、アフリカ、中国などが敵対的になりつつある。

 現在注意すべきは大統領本人の安全だ。トランプ大統領は敵を作るのに躊躇はない。既にほとんどの米メディアは反トランプの姿勢を明確にしている。異常な状況だ。アメリカの知識人の多くがトランプ政権を批判している。オピニオンリーダーの多くがメジャーなメディアでトランプ大統領を酷評するのだから、トランプ政権のレジティマシーが崩されることにつながる。トランプ大統領は、ツイッターで応戦しているが、不祥事などがあれば、一気に批判が燃え盛るかもしれない。

 もうすでに、副大統領のマイク・ペンス氏に注目が集まっている。トランプ大統領が辞任や死亡といった事態になれば、ペンス副大統領が大統領に就任する。

 実際にこれまでもかなりの割合で副大統領が大統領に昇格している。過去に病死、暗殺、辞任の3つのパターンで、9人の副大統領が大統領に昇格している。

 大統領が病死により副大統領が昇格したのは4人だ。暗殺により大統領に昇格した副大統領も4人いる。1865年のリンカーン大統領暗殺や ・・・続きを読む
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筆者

児玉克哉

児玉克哉(こだま・かつや) 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

三重大学副学長・人文学部教授などを歴任し現職。専門は国際平和論、市民社会論、NGO論など。国際平和研究学会の現事務局長でもあり、世界の平和研究の中核を担っている。グローバルな視点から社会科学の発展に寄与している。核兵器廃絶へ向けた「ヒロシマ・ナガサキプロセス」を提案し、世界的な運動を繰り広げている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。

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