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金正男氏暗殺で混迷深める東アジア情勢

米・中に挟まれ、厳しい選択を迫られる韓国

児玉克哉 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

金正男氏殺害事件の捜査状況について説明するマレーシア警察のカリド長官(左)=クアラルンプール
 2月13日に、北朝鮮の最高指導者である金正恩委員長の異母兄弟、金正男がクアラルンプール第2国際空港で毒殺された。北朝鮮工作員によるものとみられているが、まだ正確にはわかっていない。人通りの多い国際空港での暗殺だ。秘密裏に暗殺することが難しかったのか、急を要する暗殺であったのか、世界に暗殺のメッセージを発信したかったのか。金正男氏自身、狙われていることはわかっていたはずで、中国にいたときは中国政府がしっかりと守っていたと言われる。中国外での移動も相当に神経を配っていたはずだが、さすがに航空機搭乗の情報は漏れてしまったということだろう。つまり隠れきれなかったのが国際空港での滞在であり、その僅かな時間に狙われたと考えられる。

海外で見聞を広めていた金正男氏

 金正男氏の顔は日本のメディアでも何度も紹介されてきたので、馴染みがある。親日家といわれ、偽造パスポートで観光などを目的に日本に何度か不法入国していたといわれている。「東京ディズニーランド」にも出入りしていたと伝えられる。厳つい風貌に、独裁国・北朝鮮のイメージとのギャップもあり、不思議な親密感がある人物だった。海外で教育を受けた経験があり、また海外で見聞を広めてきており、将来、北朝鮮でトップの座につけば北朝鮮開放政策をとるものとみられていた。1995年からは中国を中心に生活をしており、中国の目覚ましい経済発展を体感してきた。最初は北京、次にマカオに移ったと言われる。どちらも近代的な大都市となっている。

冷え込む東アジア諸国の関係

 この金正男氏暗殺は東アジアにどのような影響を与えるのだろうか。東アジアを取り巻く環境は殺伐としたものがある。中国は反日政策で日本と反目するだけでなく、最近はTHAAD配備で韓国とも関係が冷え切った。北朝鮮との関係も金正恩体制での度重なる核実験やミサイル発射で信頼関係が揺らいでいる。確かに中国と北朝鮮の力の差は歴然としており、敵視するようなものではないが、何をするかわからない独裁者がいる国が北京や上海に届くような核弾頭ミサイルを持つのはいい気持ちがしない。アメリカとの関係もオバマ政権時より悪化する可能性が高い。トランプ大統領は、中国に対して貿易の均衡化などで強い姿勢を示唆しており、対立しやすい状況だ。

 韓国も反日政策が依然として続いている状態で、安倍首相と朴大統領のもとでの慰安婦問題に関する「合意」も吹っ飛んでいる。中国との関係も冷え込み、北朝鮮はさらに圧力をかけている。なんといっても朴大統領は弾劾訴求されており、責任体制が取れない状態だ。日本も東アジア以外では外交に際立った問題はないが、中国、韓国、北朝鮮においては冷え切った関係となっている。

 かつて北朝鮮の核問題に関して対話による解決を目指すために6カ国協議が設けられた。関係各国の外交当局の局長級の担当者間での会議であったが、

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