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生まれ故郷の旭川へ

2月21日(火) 以前からの約束を果たすため北海道の旭川へ。北海道のエア・ドゥは羽田空港でめちゃくちゃ冷遇されていて、ターミナルは一番端っこだし、出発時間も他社便が優先されるのか遅れることが多い。今回もそうだった。旭川空港に着いたのは午後1時になっていた。思ったよりは寒くない。と言うか、旭川は僕の生まれ故郷なので、感覚的に寒さにはもう慣れているのだ。年老いた義父母を見舞う。旭川市の職員たちに話をする。夜、中学・高校時代の同級生Hと杯を交わす。その後、共同通信旭川支局のOら3人と。なんだかんだ言っても彼ら彼女らは元気である。これからどういう人生を歩んでいくのか。何だか父親みたいな心境になってしまった。あまりにも無防備でまだ発展途上なので。ホテルに戻り、雑用を片付けていく。Hと一緒に食べた「すがわら」の旭川ラーメンが美味かった。

2月22日(水) 以前からの約束の講演とその後の懇談。地方都市の疲弊と未来へのビジョンの欠如ぶりは大変なレベルに達しているという現実。JR北海道のことを考える。夜、旧知のM、S。

原油パイプラインとプルトニウムの一日

2月23日(木) 朝早く起きてホテルの朝食会場に向かうと、外国人(コケージアン=白人)が結構たくさんいる。どこからいらしたんですか?と聞いてみたら、何とオーストラリアからスキーに来ているのだという。旭川近辺は雪質がいいので、ウィンター・スポーツ好きにはたまらないんだろうなと思う。いかんせん、旭川はPRが下手なので、まずはすっかり有名地になっているニセコとか倶知安の方に外国人が向かっているんだろうなと想像する。

 食堂で朝日新聞を開いたら「政府、米産原油に熱視線 トランプ氏パイプライン建設許可受け」なる大きな記事が載っていた。こういう政府の提灯記事を書くんだなあと思うと朝飯がまずくなった。<計画には、環境破壊をもたらすなどと根強い批判がつきまとうが、二つのパイプラインの建設で、米の原油生産量が1割程度増えるとの見方もある。米国が原油輸出を増やすとの期待が高まっており、調達先を広げたい日本にとっては、かつてない好機となる>だってさ。「日本企業の投資模索」だとさ。

[18]無知はちからである

 気分が悪くなって朝飯を切り上げて部屋に戻った。テレビをつけると金正男だらけで、見たいニュースがない。朝の便で旭川空港から羽田に戻る。

 午後、国連大学での「日米原子力協力協定と日本のプルトニウム政策国際会議2017」(アメリカの憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)と日本の原子力資料情報室の共催)の取材に向かう。国際会議でなかなか面白そうな人物が参加していた。そんな議論のなかで日米原子力協定の担当官だった人物が、「(フーテンの)寅さんのそれを言っちゃおしめえだということだ」などと発言しているのを聞いて茫然とした。必死で作業をしている同時通訳の方々は泣いているだろう。こういう感覚の持ち主が交渉にあたっていた日米原子力協定とは何なのか。福島の過酷事故以降、核燃料サイクルが実質的に破綻するなかで、日本のプルトニウム大量保有が国際社会のなかでどのようにみられているかについて、日本の参加者らの間で現状認識がひどく違っているにもかかわらず、今日の議論ではそれを突き詰めるまでには至らなかったようにみえる。

 局にもどって三上智恵さんの『標的の島 風(かじ)かたか』パンフレット用の文章を書く。新宿でK。恩田陸さんの直木賞受賞パーティーから戻った智子さんが着物姿で働いていた。原油パイプラインとプルトニウムの一日。スタンディングロックで逮捕者がかなり出たようだ。

2月24日(金) 泳ぐ。からだとこころの平衡を保つためには泳ぐのが一番いい。と言っても今日はいつもの半分くらいだ。それでも泳いでいる時は無になっている。

2月25日(土) ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は何と定例記者会見をやめて、オフカメラ、オフレコーディングの「ギャグル」(記者懇談)に切り替え、その場所から、ニューヨークタイムズ、CNN、ロサンゼルスタイムズ、バズフィード・ニュース、BBC、ハフィントンポスト、ポリティコなどの10社のメディアを締めだしたというのだ。アメリカの「政権VSメディア」もとんでもないことになってきた。

 記憶しておくべきは、 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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