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[21]金正男事件とマレーシアの外国人労働者

日本のメディアが頑張って報道しなければならない理由

伊東順子

起訴の手続きを終えて裁判所を出るドアン・ティ・フォン被告(中央)=1日午前10時45分、クアラルンプール近郊拡大裁判所を出るベトナム国籍のドアン・ティ・フォン被告(中央)=2017年3月1日、クアラルンプール近郊
   「韓国人は金正男さんの事件をどんな風に考えているのでしょうか?」

 「うーん、日本ほど関心はないようですよ」

 日韓を行き来する友人たちと、大方こんなふうなやりとりをしている。日本ではまさに連日連夜、ワイドショーや報道番組が事件を扱っているが、韓国でそこまでの熱は感じられない。もちろん、マレーシア警察の発表や韓国政府の分析などは報道されているが、いつもながら日本のような「興奮状態」はない。理由はいくつかある。

 韓国には、日本のワイドショーやニュースショーのような形式の番組がない。
 個別のテーマを追うフリー・ジャーナリストがほとんどいない。
 日本では在日韓国人の識者や韓国人教授などが発言して報道を盛り上げるが、韓国ではそういう役割をする外国人が極めて少ない。

 そのうえで、現在の韓国についていえば、やはり国内問題の方が緊急ということだろう。果たして、朴槿恵大統領は弾劾されるのか。その場合、次の大統領に誰を選ぶべきなのか。弾劾審判の結果は、3月10日と発表された。もう秒読み段階だ。どんな結果がどう出ようとも、問題は国民がその「法の決定」を受け入れられるか。韓国政府は慎重な対応が必要になる。

広場で対峙する二つのデモ

 弾劾を求める「ろうそくデモ」は4カ月目を迎えたが、いつの間にか「広場」は彼らだけのものではなくなった。弾劾に反対する保守勢力は徐々に勢力を拡大し、広場の南側を浸食していった。今や両者の物理的衝突が憂慮される事態ともなっている。

 「若者たちは平和的なデモを望んでいたのではなかったんですか?」

 仕事で韓国を頻繁に訪れる日本人ビジネスマンは首をかしげるが、過激な行動が心配されるのは、むしろ年配層が多い保守勢力の方だ。 ・・・続きを読む
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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

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