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3月28日(火) 局の定例会議。写真誌『DAYS JAPAN』の原稿を書き足し。CSのTBSニュースバードをみていたら、アフガニスタンなどで難民への支援活動を続けてきたNPO法人「JEN」の黒木明日丘さんという方が出ていて、キャンプのシリア難民たちが自主制作したドキュメンタリー作品を「私たちの知らないシリア難民」というタイトルで紹介していた。これらの作品がとても新鮮で見入ってしまった。地上波よりもよほど質が高いなあと感心した。

 今週は「共謀罪」法案の取材をすることになる。この法案が成立すれば、監視社会が出現するという視点は悪くない。保坂展人・世田谷区長と電話でもろもろ話をする。TBSニュースバードの取材で、野村萬斎さんからインタビューOKの知らせが届く。嬉しい。夜、沖縄取材関連で、三上智恵さん、大矢英代さんらと。サンフランシスコ在住の教員Mihoさんとスタンディング・ロック・スー族ら先住民のたたかいについて少し話をする。

あまりに大きい喪失感

3月29日(水) 「共謀罪」取材。TBS局内で保坂展人・世田谷区長にインタビュー。決してぶれない人。

 チケットを買い損ねていたエスペランサ・スポールディングのブルーノート東京での公演、今日、立ち見席を得るため店先に並ぶ決意。Sさんと一緒。午後4時半から並ぼうかと思ってブルーノートに問い合わせたら、開演の10分前でなければ、立見席はご案内できませんと言われる。仕方がなく六本木で腹ごしらえをしてブルーノート前に戻ってきた所に、Iさんから携帯に電話が入った。一瞬いやな予感がした。『調査情報』誌で長年お世話になってきた金子登起世さんが急死したというのだ。絶句した。金子さんにはこの10年以上、『調査情報』連載の「メディア論の彼方へ」への編集担当として公私ともにお世話になり続けていた。今の仕事をし続けているなかで、いわば最も大事にしてきた仕事の同伴者だった。

 その彼女から突然「退職します」のメールが届いたのは今年の3月11日のことだった。東日本大震災と福島第一原発過酷事故から6周年の取材で、福島県浪江町にいた僕のもとに、決意を込めたメールが届いたので、僕は慌ててすぐさま彼女と電話で話をしたのを覚えている。けれどもその時は病気の話はしなかった。彼女がガンを患って入退院を繰り返していたことは知っていた。けれども退職と闘病が重ねられては何も言われなかった。「いろいろと楽しませていただいてありがとうございました」という穏やかな口調の言葉が語られていた。その言い方がきっぱりとしていた。僕は「金子さんが最初の読者だったからこそ連載を続けて来られたんです。最も大切な連載を支えてくれていたのは金子さんです」と伝えたが「ありがとうございます」という言葉しか返ってこなかった。悲しくて、悲しくてやりきれない。一体これからどうしていくか。金子さんの心中を思うとやりきれない。Iさんの話ではすでに密葬がおととい営まれてご家族らごく少人数の人々が参列したのだという。22日に緊急入院して24日に亡くなったという。何だか途轍もない動揺が収まらず、その後にどのように時間を過ごしたのか。エスペランサ・スポールディングもどうでもいい。きっと高揚していたはずの公演もこころは、はるかどこかに浮遊していた。その後もあまりに大きい喪失感に苛まれて、本当にどうでもいいと思うようになっていた。

3月30日(木) 金子さんのことで、メディア総研、今野勉さん、Sさんらと電話で話をする。

 <このような急逝を ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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