メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

『セールスマン』のスリリングなこと!

5月9日(火) 局で定例会議。森友事件のことがとても気になっているのだが、スタッフの関心はあまり高くないようだ。あらゆる組織の会議に言えることだが、内輪褒めに終始する会議は個人的には「意味がない」と思っている。

 明日発売の週刊誌に吐き気を催すような記事が出るとの昨夜遅くの情報はどうやら事実のようだ。午後になって別々の2カ所から僕のところにもその記事のゲラなるものが回ってきた。実際に一読してまさに吐き気を催した。だがこんな社会のクズを相手にしている時間は僕にはない。もっともっと取材をしなければ。

スターサンズ拡大アスガー・ファルハディ監督『セールスマン』=提供・スターサンズ
 アカデミー賞の外国語映画賞を受賞したイランのアスガー・ファルハディ監督の『セールスマン』をみる。タイトルはアーサー・ミラーの『セールスマンの死』に触発されたことを示唆しているのだという。

 ハリウッド映画とはかなり異質の独特の持ち味のある映画だ。おそらくイラン社会における女性の地位といったジェンダー・イシューが背景にあるというような解説がなされるのだろうが、それ以前に、映画の展開のスリリングなことと言ったら、それだけでも大満足。

 夜、神保町Yで明治大学Uさんらの懇親会に参加。戦前・戦中の特高警察・内務省秘密文書の中身について話をする。証拠隠滅を逃れて何とか現存していた書類が段ボール4箱分。読解作業が綿密になされ、今後広く公開されて然るべき価値のあるものだと思う。「共謀罪」との絡みで何とか紹介できないものか。

 Yの店内カウンターで飲食しているうちに、この何年か愛用しているボールペン・ぺんてるENERGEL0.7mmの本体が何かの拍子でキャップからすっ飛んでいってどこかに消滅した。本当にエアポケットに入って消えたみたいになくなってしまったのだ。この世の中には村上春樹の『騎士団長殺し』に出てくるような不思議な出来事がまだまだいっぱいある。「共謀罪」反対声明に関わる諸々の作業。

驕れる人も久しからず

5月10日(水) 週刊現代の連載原稿。読売新聞の改憲記事について書く。5月3日の憲法記念日の朝刊に掲載された改憲翼賛・安倍首相インタビューにまつわるエピソードなど。トランプ大統領、コミーFBI長官を解任。アメリカのトランプ大統領にまつわる動き、このところ目が離せない。夜、勉強会3回目。その流れで新宿のE。

 安倍首相の憲法改正に関する発言、とりわけ衆議院予算委員会での「読売新聞に書いてあるので是非熟読していただいてもいい」は多方面から相当の反発を買っているようだが、一方で渡辺恒雄・主筆にきちんとこの件で話を聞くことも必要だろう。僕が信頼している数少ない読売新聞OBの一人は酒に酔うとぼそぼそと呟くようにこう言う。

<祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず。だろ?>

 平家物語の冒頭部分だが、政治もマスコミも長期支配の末路に心せよ、ということか。

5月11日(木) 朝、スポーツクラブで汗を流す。チューリップテレビの市議政務活動費にまつわる調査報道、受賞ラッシュ。日本記者クラブ賞特別賞に続いて、ギャラクシー賞も。それで富山行きのスケジュールを調整。今後につないでいくように力を添えられのなら何でもしよう。夜、新横浜。「共謀罪」反対声明の件。

関東大震災、治安維持法、大政翼賛会…

5月12日(金) 今週の『報道特集』の特集企画のひとつは憲法改正問題。それで朝10時半から自民党の憲法改正推進本部長代行で憲法審査会の幹事でもある船田元・衆議院議員にインタビュー。

 その後、午後3時からは田原総一朗さんのインタビュー。これが想像以上に面白かった。<去年の秋、安倍首相に会った。大きな声じゃ言えないけれど、憲法改正をする必要がなくなったと。実は集団的自衛権の行使をすると決めるまでは、アメリカがやいのやいのとうるさかった。ところが集団的自衛権の行使をすると決めたら、全く何にも言ってこなくなったんだ、アメリカは満足したんだと>。

 僕の方からは、今という時代が1940年前後と酷似しているのではないかと田原さんに話をした。 ・・・続きを読む
(残り:約1635文字/本文:約3376文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

金平茂紀の新着記事

もっと見る