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ザ・スパイダース拡大ザ・スパイダース=1967年
8月1日(火) 朝刊で、サム・シェパードとジャンヌ・モローの訃報を目にする。ジャンヌ・モローの出演作品は中学生の頃にみた『マドモアゼル』という映画があまりに強烈で、それ以降、忘れられない存在になった。サム・シェパードの最後にみた映画作品は『アメリカ、家族のいる風景』(実生活の伴侶であるジェシカ・ラングも出ていた)だったなあ。人は必ず死ぬ。

 天気がぐずついている。局で定例会議のあと、中東取材のためM氏らと打ち合わせ。午後になって本格的に雨が降ってきた。T氏と電話でいろいろと話すなかで、フジテレビが今日、森友学園関係の新資料を放送するとのこと。出所はどうやら関西らしいのだが不明な点が多々ある。まさか検察筋から出た資料ではあるまい。考えられない。

 午後5時からフジテレビの夕方のニュースを見て驚いた。籠池夫妻と近畿財務局・大阪航空局の担当者らとの間の国有地売却に関する交渉の模様の音声テープが放送されているではないか。それもかなりきわどい中身の会話だ。なぜ8億円もの値引きがなされたのかを知る上で、重要な判断材料である。会話のなかで強気なのは籠池氏側という印象で、なぜか財務局や大阪航空局は下手に出ている。結局、籠池氏側の意に限りなく沿うように動いていたことは間違いない。そのことが、行政をねじ曲げる「違法性」があったのなら刑事事件として立件されなければならない。少なくとも国会で財務省の佐川宣寿理財局長(当時)の「事前に財務省側から価格を提示したことはない。適正な価格で売却された」答弁は水泡に帰したことになる。

人々は簡単に忘れるのだ

8月2日(水) 三鷹在住の渡部富哉氏に借りていた資料を返却にうかがう。特高関係資料は実に興味深い。「共謀罪」との関わり以上に、現代史において、いかに人間は愚かなことをやってしまうのかを具体的な形で知ることができる。時間があれば、きちんと読み込みたいのだが。学者は何をやっているのか。ゾルゲ事件のシンポジウムをモスクワでやる計画があるらしい。参加したいな。

 雨足が強くなってきた。政治部は内閣改造で沸き立っているように見える。結局、これで前のことが全部チャラになって、安倍政権の寿命は伸びることになるのだろうか。おめでたい国である。

 えきた・ゆきこインタビューを読む。夕方、毎日新聞の取材。現況に引きつけて、故・米原万里さんのことを話す。米原万里さんが生きていたならば、今の世の中を何と言うだろうか、という発想からの紙面をつくるのだという。そうだなあ、米原さんは、爽やかな毒舌家。曲がったことが大嫌いな人。言葉をきわめて大切にする人。偽善を嫌う人。

 その後、神保町のYに、さらに新宿E。フジテレビの午後のワイドショーが目に入ってきたのだが、近畿財務局の森友学園担当者の自宅にまで直撃取材を試みていた。凄みを感じた。

8月3日(木) 朝、右腕で病院へ。例によって電流。効いているのかな。携帯電話を職場に忘れてきてしまい、まいった。テレビも新聞も朝から内閣改造で大騒ぎである。まんまと過去を葬り去る作業に ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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