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『おクジラさま ふたつの正義の物語』拡大『おクジラさま ふたつの正義の物語』=公式サイトより
8月15日(火) ベイルートは何としのぎやすいことか。待つのがここでの仕事だ。今日は日本は終戦記念日。だがこの地ではごく普通の日常が続いている。もっとも国境地帯では緊張が続いているようだ。レバノン軍がヌスラ戦線をキックアウトしたというので、知り合いのレバノン人が興奮していた。ただIS=イスラム国の武器の供給源がレバノン国内にあることは周知の事実で、ヒズボラやさまざまな政治勢力が摘発に動いているという。イスラム国とは一体何なのか。いくつかの仕事で移動を重ねる。おそいランチをとる。いつも思うのだが、レバノンのピクルスは本当においしい。旧知のSさんと再会。『週刊現代』のコラムの記事。

 夜、CNNでトランプタワーで行われたトランプの記者会見をライブで見る。全くひどい。ヴァージニアのシャルロッツビルで起きた白人至上主義と反対派の衝突で、反対派が白人至上主義の男の運転する車の突入を受けて死傷者が出た事件について、トランプ大統領はあらためて「両方に非がある」と明言した。ほとんどメディアとのあいだで感情丸出しの喧嘩になっている。この出来事はトランプにとって致命的であるように思える。

大収穫、堀川恵子『戦禍に生きた演劇人たち』

8月16日(水) 堀川恵子の『戦禍に生きた演劇人たち――演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇』(講談社)を読む。この本は本当に大収穫だ。まさに今の時期に読まれて、できれば再映像化されるべき価値があると思う(かつてNHKで八田元夫たちを堀川さん自身が扱ったことがあるそうだが)。ただ1か所のケアレスミスが惜しい。

 食堂で朝食をとりながら、ホテルで働いているメイドさんたちを見ていると、彼女らは明らかにフィリピーナだ。本当に手際よく働いている。だからベイルートのこのホテルはイラクのホテルに比べてはるかに快適だ。毎日新聞のコラムの記事を送る。

 正午すぎにチェックアウト。Sさんに空港まで送ってもらう。ベイルート空港のパスポート・コントロールは最悪に近い。僕が並んだラインがことのほかひどかった。まあいいや、そんなこと。今回の飛行機の移動は、隣席がなぜか泣き止まない子どもにあたって、まいった。イスタンブールのラウンジで体を休める。右腕がまた少し痛み出した。

8月17日(木) 成田行きのトルコ航空エコノミー席は文字通りの満席。1席の空席もない。ビジネスは空いているが。まあ、今は夏休み・お盆休みを海外ですごした人々の帰国ラッシュなのだろうから仕方がないのか。何しろ、イン・ザ・サマータイムなんだから。

 11時間30分の飛行は長かった。エコノミー症候群とまでは行かなくても、からだの節々が痛くなった。右腕の方は全然よくならない。苦し紛れに機内で映画をみた。こういう時でもなければ絶対にみないだろう『ラ・ラ・ランド』、それに奇妙な味わいのある『Russian Red(Vermelho Russo)』(2016年、Charly Braun監督、ロシア/ブラジル)、そしてさらにとどめは日本映画の『サバイバルファミリー』。

 成田には19時半に到着。ぐったり疲れた。久しぶりに帰宅して家人のつくってくれた焼き魚とみそ汁とお漬物を食べる。自分が日本人であることを自覚させられる。そして日本式の深い浴槽のお風呂に入る。日本は涼しい。でも多湿でしのぎにくい。

NHK『731部隊の真実』『インパール』はすごいや!

8月18日(金) 久しぶりに局へ。職場は驚くほど閑散としていた。若干の打ち合わせ。雑件の処理。日本をあけていた時にNHKで放送されたNHKスペシャル『731部隊の真実 エリート医学者と人体実験』『戦慄の記録 インパール』の2本を続けてみる。731部隊にはまいった。と同時に個人的には悔しい思いでいっぱいになった。なぜならば、 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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