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北朝鮮のミサイル発射を伝えるJアラートが出されたことを、テレビ各局が報じた拡大北朝鮮のミサイル発射を伝えるJアラートを報じたテレビ各局
9月5日(火) 何だか何もかもどうでもいいような気分に陥る。局で定例会議のあとにひたすら雑件処理。ネタの打ち合わせ。なぜか大人数。その後ふたたび雑件処理。そこに予想していたとは言え、最悪の情報がもたらされる。あったことをなかったことにしようとするこの理不尽な組織の病理。「凡庸な悪」(ハンナ・アーレント)という言葉をこころのなかで反芻する。全身から何かチカラが抜けていくのを感じる。

 夕刻、新橋にて実弟と会う。互いに歳をとった。

官邸報道室長の要請文に呆れ果てる

9月6日(水) 脱力感抜けず。だが、めげていては何も始まらない。北朝鮮危機関連で取材先を仕込む。今は事態を冷静に分析する時だと思う。いやしくも、危機を煽る側には回るまい。

 以前に引き受けた講演の記録を公刊したいからと主催者から校正原稿が2件回ってきた。速記録に目を通してみると、書く場合としゃべる場合とでは、おのずと言葉の密度が異なるものだと実感する。

 東京新聞・望月衣塑子記者に対する内閣官房総理大臣官邸報道室長・上村秀紀名の要請文なるもの(9月1日付)をみて、ほとほと呆れ果てる。後世の日本人よ。これがあなた方の過去のジャーナリズムの世界で起きていた紛れもない事実なのですよ、という意味ではなるべく多くの人の目に触れた方がいいと思うので、以下全文を書き写しておく。Shame on you! 恥を知れ。

平成29年9月1日
東京新聞政治部次長(官邸キャップ)
●●●●●様

内閣官房 総理大臣官邸報道室長
上村 秀紀

 本年8月25日午前の菅内閣官房長官記者会見において、貴社の記者が質疑の中で、平成30年度開設の大学等についての大学設置・学校法人審議会の答申に関する内容に言及しました。
 言及があった内容は、正式決定・発表前の時点のものであり、文部科学省としては、官房長官記者会見という公の場において言及することは、当該質疑に基づく報道に至らなかったとはいえ、事前の報道と同一のものとみなし得る行為であり誠に遺憾であるとして、文部科学広報官から貴社に対し、文書にて再発防止の徹底を求めたと承知しています。
 また、上記の件は、官房長官記者会見の場で起きたことであるため、文部科学省広報室から当室に対し、当室から内閣記者会駐在の貴社の記者に注意喚起を行うよう要請がありました。
 正式決定・発表前の時点での情報の非公表は、正確かつ公正な報道を担保するものです。官房長官記者会見において、未確定な事実や単なる憶測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は、当室としては断じて許容出来ません。貴社に対して再発防止の徹底を強く要請いたします。(太字は引用者による)

 何ともおぞましい内容である。とりわけ太字の部分は、 ・・・続きを読む
(残り:約3032文字/本文:約4177文字)

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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