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パンダのメスの赤ちゃんの名前を発表する小池百合子・東京都知事拡大パンダの赤ちゃんの名前を発表する小池百合子・東京都知事。このあと、「希望の党」の立ち上げも発表=2017年9月25日
9月19日(火) 午前中、局で定例会議。解散・総選挙をめぐっての特集とすべきと力説する。この大義なき解散は、いくら何でもひどすぎる。だが、関心の向かう方向は人それぞれなのだということを会議で痛感する。そして会議では自説を口にしない。何なんだろうか、これは。

 午後の便で沖縄へと向かう。チビチリガマ損壊事件と沖縄の選挙情勢を取材するため。空港から会合場所へ直行。Oさん、Tさん、Yさんと密度の濃い懇談。チビチリガマ事件の警察発表のプロセスに不自然さを感じるという意見に耳を傾ける。犯行に加わった4人の少年の関係が全く明らかにされていない。いわゆる暴走族なのか、単なる遊び仲間なのか、あるいは右派団体の「パシリ」的なグループなのか。それぞれの居住地はバラバラで「沖縄県中部」としか発表されていない。バイクに分乗し8人で現場にやって来たらしいが、犯行に加わったのは4人、他の4人のなかには制止しようとした少年もいたらしい。「心霊スポットに肝試しに行った」。嘉手納署は早々と「政治的背景はない」とブリーフしたらしいが、それもどこか不自然だという。「肝試し」と「破壊行為」の間には何しろ飛躍がある。彼らは動画で行為を撮影していたという。Tさんの言う「射程外の少年たち」という言葉が妙にリアリティを帯びているように感じられた。いわゆる平和教育の射程外にあり、沖縄に広がる格差社会で射程外にいる少年たち。取材のむずかしい「少年事件」だという壁があるが、しっかりと検証しなければなるまい。

 選挙は、前回選挙の「オール沖縄」全勝の一角が崩れる可能性があるとのこと。「オール沖縄」は後継をつくっているか? 「沖縄タイムス」に先日のNHKスペシャル『沖縄と核』についての論評が掲載されていた。

「中立とは両論併記ではない」

9月20日(水) 朝の便で東京に戻る。空港のラウンジに立ち寄ったら、何とこれまで「沖縄タイムス」、「琉球新報」の2県民紙が置かれていた新聞コーナーに「八重山日報」が置かれているではないか。驚いた。こういう変化こそが重要なのだ。ファシズムは音をたてずにいつのまにかやって来る。

 「毎日新聞」のテレビ評のコラム原稿を書いて送る。1950年代、米政府が核爆発への備えで国民に説いていた「Duck and Cover(頭を引っ込めて体を覆え)」について書く。その後、早稲田大学で新入生のためのプレゼンテーション。

 夕方からイスラエルの新聞「ハアレツ」の占領地特派員アミラ・ハス記者との対話集会。ジャーナリストの土井敏邦さんとの以前からの約束を果たす。会場には思ったよりも多くの人々が訪れていた。権力を監視するという基本動作について。日本とイスラエルのジャーナリストに共通するテーマを見つけ出そうと何とか努力したが、果たしてどこまでできたか。「ハアレツ」の歴史は古く、イスラエル建国以前の1910年代にドイツ系ユダヤ人たちによって創刊された日刊紙。アミラさん曰く「どの政権下にあっても常に反政府」という立ち位置だとのこと。「中立とは両論併記ではない。レイプ事件の報道で被害者と加害者の言い分を両方載せるのが中立だとでも言うのか」とアミラさんの主張は非常にクリアだった。弱っているのは僕の方だ。アミラさんから力をもらったような気がする。

「もりかけ忘れてくれますか解散」

9月21日(木) 心身のバランスを保つためにプールに行き泳ぐ。かなり力が入ったのはストレスが半端じゃないからか。30分以上泳ぎ、サウナに入って汗を流した。体重が70.7キロまで落ちた。

 今回の解散、もりかけ(森友・加計学園)疑惑隠しという側面が露骨であることから、前川喜平元文科省事務次官にインタビュー取材をする。前川氏は、きのうは福島での授業、さらに夜間中学の講師をボランティアで続けられていて、やはり教育者としての矜持をしっかりと保っておられると実感。平河町のホテルで30分ほどのインタビュー。「もりかけ忘れてくれますか解散」と喝破していた。

 その後、局に戻って森友学園関係の取材準備。すると突然、猛烈な腹痛(下痢)と悪寒に襲われる。まいった。これは風邪とは明らかに違うな。食あたりに近い症状か。すぐに帰宅して眠る。

9月22日(金) 朝9時羽田発の便で伊丹空港へ。眠いのと体の絶不調でまいる。機内で短時間だが眠ってしまった。けれども話をうかがう相手は、森友学園問題をそもそも掘り起こした張本人、豊中市議会議員の木村真さんなので、こちらも元気になれる(はずだ)。籠池泰典氏らが念願した「瑞穂の国記念小学院」の建物は、最初にここを訪れた今年2月当時のままだ。違うのは、工事が全く止まっているのと、雑草があちこちにぼうぼう生えていること、そして「国有地」というパネルが金網に数か所取り付けられている点だ。この建物をこれからどうするのだろうか。壊すのが勿体ないくらい木材をふんだんに使ったデザインのなかなか洒落た建物だ。

 木村さんとのアポイントは13時。雨がパラパラと降りだしてきた。木村さんが到着するまでMディレクターやNカメラマンと相談して何パターンかのリポートを撮る。公園にいたおじいさん2人組に話を聞いたら、2人とも創価学会員だった。ところが話を聞くと、森友学園問題がうやむやにされることにとても怒っていた。「公明党には票を投じない」とまで言う。あらら、ここまで言っていいのかな、と思ったら、カメラを撮り終えたら、「さっきの投票のところ、使わんといてな」と笑いながら言ってきた。木村市議は市議会の公務を終えて駆け付けてくださった。雨足が強くなってきた。木村さんは何しろ怒っていた。ここまでやるか、と。

 取材後に伊丹空港に直行して羽田行き便に飛び乗る。16時半から遅れて、新宿の某会議に参加。人が理不尽な攻撃にあっているときは助ける。これが基本だ。電通の違法残業事件の公判廷。即日結審。電通の社長が出廷。起訴事実について「間違いありません」と。驚いたのは、 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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