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「耳の痛いことを言ってくれる友人」の声を聞くこと

10月3日(火) 午前中、局で定例会議。選挙については「共謀罪」法をひとつの焦点にして選挙区を取材することになる。「共謀罪」法と言えば、国連特別報告者のケナタッチ氏が来日していることを思い出す。彼は日本の人権状況を非常によく理解している人物で、「共謀罪」法施行後も、この法律が抱える問題は何ら国際的基準に照らして変わっていないし、むしろ日本政府が聞く耳をもたず頑なになっているなどと主張していた。こういう「耳の痛いことを言ってくれる友人(Critical friend)」の声を聞くことは、有権者にとっては選挙の争点の判断材料として決してマイナスにはならないだろう。そう思って自由人権協会の弁護士さんらに接触を試みていたのだが、離日前の今日の午後3時からならギリギリ30分のインタビュー時間がとれるとのことだった。こちらのために奔走してくれて本当にありがたい! さっそく準備にとりかかる。

 正午、「週刊現代」のI、Oさんらと打ち合わせ。その後、ケナタッチ氏のいる六本木ヒルズの弁護士事務所へ。SKYPEでは一度インタビューをしたことがあるが、やはり面と向かって会うことが重要なのだ。話の中身も面白かった。帰り際に「PRIVACIN」とパッケージに書かれたタブレット錠を僕に手渡して、「この薬はプライバシー保護に効くんだ」と言って笑っていた。もちろん、ただの砂糖菓子だが、こういう冗談が通じる人物であることが安心のみなもとなのだ。

 午後3時から、立憲民主党を政党として選管に届け出てからの街頭第一声を枝野幸男代表が有楽町でやるというので取材に回る。有楽町駅前で、その場所の使用許可をめぐって枝野陣営のボランティア君が何やら地元のおっさんと揉めていた。午後5時前に枝野氏がやって来て、本当に小さなミカン箱ほどの台に乗って演説を始めた。かなりの聴衆が集まってきて徐々に熱気を帯びてきている。何だか言葉にチカラを感じる。明後日から秋田の選挙区に取材に入るのでその準備を始める。夜、RKB毎日放送のNさん。いつも元気をもらう。

10月4日(水) NHKの31歳だった女性記者が過労死していた事実がきのうのNHK午後7時のニュースから報じられていたという。僕はみていなかった。結構な騒ぎになっている。「働き方改革」の美名のもとに一番悲惨なことが起きている現場のひとつがひょっとして放送局ではないのか。雑誌「クレスコ」の原稿。選挙と学校教育について書く。

 夕方6時半から神保町の東京堂書店ホールで、日本ペンクラブ平和委員会主催のシンポジウム。伊藤塾の伊藤真弁護士と僕がそれぞれ45分。あとは会場との質疑。思ったよりもたくさん人が来ていた。懇親会は頭だけで失礼する。

金田勝年候補の選挙取材へ

10月5日(木) 朝8時55分発の便で秋田・能代空港へ。秋田2区の選挙取材。「共謀罪」法成立の立役者というか担当大臣(法相)だった自民・金田勝年候補と、希望の党・緑川貴士候補、共産党・藤本友里候補が出馬している。閣僚経験を持つ与党の重鎮に新人2人が挑むという構図。地元は農業地帯が大きく拡がる。ちょうどブランド米・あきたこまちを収穫している大館市の農家の田んぼを訪ねた。マイクを向けると、減反政策終了に伴う補助金カットでこれからどうなるんだ、という切実な思いを延々と訴えられた。地元の運転手さんによれば、このあたりに忠犬ハチ公の生家があるのだそうだ。

 緑川候補の事務所開きを取材したら、神主さんが来ていて神式の祝詞をあげていた。民進党の文字が大書きされた布旗は作り直しが間に合わず、そのまま事務所に大きく張られていた。パンフレットやポスターには「希望の党」シールが「民進党」の文字の部分の上に貼り付けられていた。

 その後、能代市内で開かれる自民党演説会会場へ。実質的には金田候補の決起集会である。そこに菅官房長官が応援演説に訪れた。 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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