安倍政権の違憲行為を糺し、「再立憲」で応戦すべし
2017年11月20日
総選挙後、政権はさっそく改憲を目指すことを明らかにした。安倍首相は野党にもそのための議論を呼びかけ、「希望の党」に協力を期待する一方で、衆議院で野党第1党となった立憲民主党が賛成しなくとも発議しようとする姿勢を示した。これに対して立憲民主党はどのような態度をとるべきだろうか。
枝野幸男代表と立憲民主党の取るべき戦略――民進党再結集は急がず、「立憲の枝」による選挙連合で戦え
改憲こそ専制化の完成を意味するから、立憲主義的政党はこれを何としても阻止しなければならない。私は今の政治状況を「三国志」にたとえているが(「希望の党の「排除」が甦らせた立憲政治の「希望」――専制化への反撃の狼煙がついにあがった」)、改憲への動きは、覇権国である魏が天下統一を目指して侵攻するようなものだ。
選挙で議席を減らした公明党は慎重な姿勢を打ち出し始めたから、もし国会における憲法論議を通常の手段で回避できるなら、それに越したことはない。けれども多数の力で発議に向けて国会の議論を強行してきた場合、どうするか。――この場合には、乾坤一擲の戦いを挑み、正々堂々と立憲論を提起して応戦すべきだ。私は、立憲民主党は「リベラリズム」ではなく「立憲民主主義」の理念を打ち出すべきだ、と主張してきた(「立憲民主党に必要な理念は「リベラル」ではない――「立憲自由民主主義」を旗印にせよ」)。この中には、立憲主義的な改憲という考え方も含まれうる。日本国憲法を、より立憲主義的に改憲するということだ。
これまで「改憲」という言葉は、保守的な改憲を意味することが多かった。自民党憲法草案がその典型だ。逆に立憲主義を尊重する人は護憲を主張することが多かった。現行憲法を評価しているからだ。
ただ、これからは必ずしもこれが唯一の可能性というわけではないだろう。安倍政権は様々な違憲行為を犯し、憲法を蹂躙している。それにもかかわらず、憲法秩序の回復はまだできていない。それに対抗する政治的運動は、憲法秩序を復元するとともに、このような専制化が二度と起こらないように制度改革を目指すべきではないだろうか。
確かに現行憲法は、GHQ(連合国軍総司令部)によって短期間に作られたと保守派から批判されているにもかかわらず、優れた特質を持っている。それでも、弱いところがないとは言えない。その脆弱性を利用して、現政権は憲法を蔑ろにしているとも言える。だから、それに対抗する政党は、その弱点を克服するための改憲を
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