平和憲法を甦らせるための歴史的な起死回生策
2017年11月21日
枝野幸男代表と立憲民主党の取るべき戦略――民進党再結集は急がず、「立憲の枝」による選挙連合で戦え
立憲民主党は「理想主義的改憲」を逆提案せよ――安倍政権の違憲行為を糺し、「再立憲」で応戦すべし
短期間に作られたにもかかわらず、戦後70年以上の時間が経過しても現行憲法は十分に今の時代に対応する能力を持っている。けれども安倍政権が事実上の専制化を進めた結果、この憲法の脆弱性も明らかになった。違憲行為をあたかも合憲であるかのように装えるのは、憲法が期間や罰則や決定方法などを明文で定めていない条文を無視したり、悪用したりしているからだ。
たとえば野党が憲法第53条(臨時国会の召集)に基づいて臨時国会の召集を要求したにもかかわらず政権はそれを3カ月以上も棚ざらしにした上で、いきなり冒頭解散を行った。これは違憲行為だが、53条に臨時国会を招集する期限を明示すれば、このようなことはできなくなる。自民党改憲草案でも「20日以内」と規定しているのだから、自民党もこれには賛成しなければならない。
また多くの諸国と同じように、首相の衆院解散も恣意的にできなくなるように解散権の制限が必要であり、内閣の助言と承認による天皇の国事行為としての衆議院解散を定めた第7条を改正すべきである。
同じように大事なのは、内閣に憲法を遵守させる実効的規定を導入することだ。現行憲法にも憲法遵守義務(第99条)があるにもかかわらず、国務大臣が憲法違反を犯しても辞めさせることができない。今の裁判所は何も出来ず、しようともせず、選挙で退陣させるしか方法がないからだ。
大統領制をとるアメリカや韓国では大統領の弾劾規定があり、アメリカでは下院が出席議員の過半数で訴追し、上院が弾劾裁判を行って同じく3分の2の賛成で弾劾を決定する。韓国では国会議員の過半数で弾劾案が提起され、3分の2以上の賛成で承認され、憲法裁判所が審議する。ニクソン大統領は下院の訴追決議を回避するために辞任し、朴槿恵大統領は裁判によって罷免させられた。
これに対して、議員内閣制では国会の多数派が首相を選出しており、論理的には国会の不信任決議で首相を辞めさせることができるので、日本では弾劾制度は設けられていない。しかし今のような事態を見ると、国会の多数派が支持していても、憲法違反行為を行う首相を辞めさせるための弾劾規定を何らかの形で導入する必要はないだろうか。たとえば、
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