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自衛隊機の事故は予算不足や稼働率低下が理由?

増え続ける調達単価、維持整備費。もはや自衛隊の人員を削減するしかない

清谷信一 軍事ジャーナリスト

機体から出火したF4戦闘機=18日午後0時47分、茨城県小美玉市20171018拡大機体から出火したF-4EJ改「ファントム」戦闘機=2017年10月18日、茨城県小美玉市
 昨今、航空自衛隊の救難ヘリUH-60Jの遭難や、同じく空自のF-4EJ改「ファントム」等の事故が続いている。決めつけはできないが、背後には整備予算の不足による整備不足や稼働率の低下が疑われる。

 稼働率が低いということは、そのぶん搭乗員の飛行時間が減ることを意味する。一般的には搭乗員の技量は飛行時間に比例する。飛行時間が減少すれば技量は低下する。また飛行時間が減少すれば整備員も仕事が減って、技量が低下する恐れがある。例えば陸自のヘリ部隊では以前は220時間ほどだった飛行時間が120時間ほどに減っている。

 実際、自衛隊の装備の稼働率はかなり低下している。極論を言えば自衛隊の基地は「基地」ではなく、「博物館」化していると言ってよい。

 さらに言えば、各部隊は現在予算削減のために訓練時間も減らすように指導されているという。これは訓練費だけではなく、装備の損耗や燃料費を抑えるためだろう。訓練しなければ部品は消耗しないし、燃料消費も抑えられる。だが、そのぶん練度は下がり、それが事故につながる。戦力の低下につながることは言うまでもあるまい。

 だが防衛省、自衛隊は新型装備の取得自体が目的化しており、それを維持運用し、有事に有効に活用するという、軍隊では当然の考えが欠如している。その意味において自衛隊は、故吉田茂元首相が言った「戦力なき軍隊」という言葉通りの組織である。

 ソ連崩壊前、自衛隊は東西軍事力のシーソーゲームで西側の錘(おもり)となればいい、つまり「存在する自衛隊」であればよく、実戦は期待されていなかった。その後、石破茂氏が防衛大臣になったときには「存在する自衛隊」から「機能する自衛隊」に改革するとしたが、その後も実態と意識は変わっていない。

 だから調達する装備をいくつ、いつまでに取得、戦力化するというプランも、総額がいくらかかるかも、国会にも納税者にも説明しない。つまり ・・・続きを読む
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筆者

清谷信一

清谷信一(きよたに・しんいち) 軍事ジャーナリスト

軍事ジャーナリスト、作家。1962年生まれ。東海大学工学部卒業。03~08年まで英国の軍事誌Jane's Defence Weekly日本特派員。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、Kanwa Informtion Center上級顧問。日本ペンクラブ会員。著書に『専守防衛─日本を支配する幻想』『防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備』『自衛隊、そして日本の非常識』『ル・オタク フランスおたく物語』、共著に『軍事を知らずして平和を語るな』『アメリカの落日―「戦争と正義」の正体』『すぐわかる国防学』など。最新刊に『国防の死角――わが国は「有事」を想定しているか』。

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