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[30]なんと検察から! 韓国の#Me Too

広がる運動、緊張する政界財界マスコミ業界

伊東順子 フリーライター・翻訳業

性暴力やセクハラ被害を訴える「#MeToo(私も)」運動への連帯を示すため、黒い服を着てトランプ大統領の一般教書演説に参加した女性議員ら=30日、ワシントン、ランハム裕子撮影拡大「#MeToo(私も)」運動への連帯を示すため、黒い服を着てトランプ米大統領の一般教書演説に参加した女性議員たち。韓国にも広がるだろうか=2018年1月30日、ワシントン 撮影・ランハム裕子

現職の女性検事が自身のセクハラ被害を暴露

 平昌冬季オリンピック開幕まで残りわずか、そろそろメディアも五輪一色に、と思うのだが、なかなかそこにたどりつけない。北朝鮮のイベント参加キャンセルでギクシャクしたかと思えば、次に慶尚南道密陽(ミリャン)市で大規模な病院火災が起きてしまった。度重なる大きな火災、しかも今回は犠牲者に高齢の方が多かったことに、国民はショックを受けた。その傍らで、与野党は責任を押し付け合う。

 「前政権時代の問題が……」「いつまで、そう言って逃げるのか」

 こういうの、日本でもあるよね、と思う。

 政界への失望が大きくなる中、さらに「事件」が起きた。女性検事が自らのセクハラ体験を告発したのだ。

 今、「韓国版Me Too運動」として拡散している事件の主人公は、ソ・ジヒョンという現職検事。1月26日、彼女は検察内部のネットワークに、自身が8年前に受けたセクハラ被害についての告発文を載せた。そこには、当時の法務部幹部からのひどいセクハラと、その後の人事における不利益の詳細が記されていた。その3日後、ソ検事はテレビのニュース番組にも出演した。

 「性暴力被害者たちに『決してあなたたちに非はない』とのメッセージを伝えたかった」

 そして私も被害者の一人だという。つまり「Me Too」である。

 さらに彼女は、他の女性検事が受けた被害についても暴露した。

 当初、検察幹部は事態を甘く見ていた。検事総長は 「(ソ検事に対する)人事過程における問題点を発見できなかった。当事者らがすでに退職しており、問題の把握に困難がある」という反応を示したが、マスコミも国民もこれを許さず、大騒ぎになった。驚いた検事総長は、1月30日になって前言を撤回、ソ検事のセクハラ被害に関し、徹底した真相調査と応分の処置を約束したが、すでに事態は大きくなっていた。

 そうして、2月2日には法務部長官が謝罪、ついには国家人権委員会が検察を捜査するという、前代未聞の展開となった。

伊藤詩織さんの事件にも ・・・続きを読む
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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

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