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落選が決まった直後の稲嶺前市長 左隣は翁長沖縄県知事 (筆者撮影拡大落選が決まった直後の稲嶺進前名護市長、左隣は翁長雄志沖縄県知事=撮影・筆者
1月30日(火) 校庭に米軍ヘリから窓が落下した普天間第二小学校へと取材に赴く。以前ならば、学校側も報道陣の取材を受け容れていたのだが、現在はピリピリしていて、校舎内での取材は原則不可。ちょうど僕らが到着した昼休み前の時間に、校庭では落下物対策の児童の避難訓練が行われていた。「逃げて!」という先生の合図とともに児童たちが隊列を組んで小走りに校庭から校舎の決められた場所に移動している。落下事故以来、この校庭はまだ使用が再開されていない。と言うのも根本的な安全対策がなされていないからなのだが、そこにさまざまな思惑が加わって「早く校庭を使わせて」という力が働いているようだ。

 校門前で待機していたら、宜野湾市の知念春美教育長がやって来た。偶然だ。彼女に尋ねてみると、今日ここで学校、教育委員会、防衛局、保護者の4者協議が行われ、まもなく校庭の使用を再開することを決めるという。防衛局長も来ているらしい。なるほどそうか。

 13時50分頃、校庭の上空を少し外れた航路で4機のヘリが基地から飛んできた。14時18分、再び避難訓練が行われた。オスプレイも飛んできた。今度は結構校庭側に近い。校庭からやって来た工事業者に話を聞いたら、新たに監視カメラを取り付けるための下見作業をしていたという。今度のカメラは夜間でもきちんと写る精度の高いものらしい。校庭の上空か外れているかなんて、実質的には落下事故や墜落ということから考えると、意味のない議論だという。

 その後、宜野湾市内の上大謝名さくら公園に移動。建築家の真喜志好一さんに「クリアゾーン」についてお話をうかがう。「クリアゾーン」とは、米軍の飛行場安全基準で決められている法定区域で、その中には住宅、学校、病院、集会所などがあってはならない。もちろん、これは米国内ではそうだということだ。沖縄ではいいのだ。日本政府はもちろん何も文句を言わない。宜野湾市と国の間で鳴り物入りで去年開園したこの公園だが、何と普天間基地の滑走路の南端の飛行誘導灯が公園のすぐ脇から伸びているではないか。初めてこの光景を目の当たりにして僕は驚いた。こんなところに、公園つくるのかよ、と。

 真喜志さんに「クリアゾーン」についてインタビューしているその最中のことだった。轟音と鈍い振動が体に伝わってきた。オスプレイだ! 僕らの真上を、まさに誘導灯に導かれるようにして普天間基地の滑走路にオスプレイが着陸していったのだった。真喜志さんと僕はインタビューを中断して呆然として立ち尽くしていた。「もう言葉で説明する必要ないでしょう」。真喜志さんはそう言った。再び、普天間第二小学校に戻って保護者のインタビューを試みたが口は固かった。みんな疲れ切っているのだ。

 那覇に戻って夜、旧知のOさんやKさん、Yさんらと情報交換。僕は率直に、名護市長選挙では現職が敗れるだろうとの予測を喋った。するとOさんもKさんも強く反発した。Oさんから、本部(もとぶ)の土砂採石場に行くといい、と示唆された。夥しい数のトラックが常時土砂を運び出し、それらが那覇空港の第二滑走路埋め立て工事現場や辺野古の工事現場に運ばれていると。「沖縄は島を削って海を埋めているわけさあ」と。Yさんとは『越境広場』の最新号の目取真俊・中里効の対談について話をした。あの対談記事は面白かった。絶対的な悪として軍隊と対峙する確固とした姿勢。だが一方で、現場至上主義の危うさもあるのではないかと。深夜まで酒を酌み交わす。問われているのは名護市民ではない。Yさんによれば、今日の琉球新報の対産経新聞報道の記事はすさまじい力があったという。しまった。僕は今日は沖縄タイムスしか読んでいなかった。

まるで小泉進次郎の選挙

1月31日(水) 今日は小泉進次郎議員が渡具知武豊候補の応援演説に駆け付けるという渡具知陣営最大の山場の日だ。Kディレクターと相談して、彼女に進次郎議員のカバーをお願いして、僕は敢えて稲嶺進候補のカバーに回ることにした。大動員をかけて聴衆が詰めかけることが目に見えている「進次郎集会」の同じ時刻に、稲嶺候補はどこで何をしていたのかを対比させて放送することに意味があると思ったのだ。「小泉進次郎通り」と僕らの仲間のカメラマンが命名したように、名護市の中心部のあちらこちらに「小泉進次郎 来たる!」の写真入りポスターが氾濫していた。今日の県内2紙に全面広告を出した渡具知陣営は、そこでも小泉進次郎が今日来るぞ、と謳っていた。これは一種の人気タレントのショーである。まるで「小泉進次郎VS稲嶺進」の選挙みたいじゃないか。

[70] 「小泉進次郎通り」を歩きながら…

 進次郎の1回目の最初の応援演説場所は県立名護高校のすぐ近くだった。15時35分、「進次郎はまだ来ていないが大変な人出だ」とKディレクターから電話。その後 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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