「一般意思」体現のために、党派を超えた立憲主義連合を
2018年02月16日
いよいよ国会で改憲の議論が始まり、日本政治は運命の日に向かいつつある。与党がいつものように強行採決によって発議を行う可能性がある以上、野党第1党たる立憲民主党にかかっている責任は重い。
この政党は草の根民主主義を主張し、総選挙で大きな期待を集めた。今のところ、そのための方策として、原発ゼロ基本法タウンミーティングなどが試みられている。これはもちろん貴重だ。これを憲法政治そのものにおいて展開すべきではなかろうか。たとえば、理想主義的改憲論も含めて、憲法をめぐる対話集会ないし憲法タウンミーティングを津々浦々で繰り広げるのである。
ここに存在する思想的可能性はこの政党においてすらまだ自覚されていないように見える。枝野幸男代表は、衆院選直前の熱気がこもった演説で「立憲民主党を作ったのは、枝野幸男が立ったからではありません。私を背中から押してくれた国民の皆さんが、立憲民主党を作ったんです。立憲民主党はあなたです」(東京・新宿、2017年10月14日)と述べた。党のサイトに掲載されている新年の挨拶でも「特に、『立憲民主党はあなたです』と、そういう呼びかけをいたしました。/国民の皆さんに、幅広く政治に関わっていただく、参加をしていただく、暮らしの現場の声にしっかりと政治がつながっていく、そうしたアプローチがどうできるのかが問われていると思っています」と改めて述べている。
「立憲民主党はあなたです」というこの文句は、支持者を感激させたようだ。ただ、今のところこれは草の根民主主義にふさわしいスローガンとして用いられただけに見え、それを本格的に説明したりしている形跡はない。おそらく現場の熱気の中でスピーチしている時に閃(ひらめ)いた文句だからだろう。でも、ここにはもっと深い意味を見いだすことができる。この言葉を、もっと本気で考えてみよう。
どんな支持者であれ、実際には、その人そのものが立憲民主党ではない。だから文字通りに考えればこの文句は間違っている。これは自明の理だ。当たり前だから、与党支持者から批判が出たとは寡聞にして聞かない。
少し真面目に考えてみれば、立憲民主党支持者といえども、この政党の政策全てに賛成できるとは限らない。そこで「立憲民主党(の政策)はあなた(の意見)」とは言えなくなる。様々な政策については意見が分かれるはずだからだ。だから、その点では「立憲民主党は自分ではない」ということになる。
それなのに、なぜこのスローガンに多くの支持者が共感するのだろうか? ここには理由がある。立憲主義や議会政治を蔑ろにする政権の非道な振る舞いに反対するという点において、多くの人々の心がこの政党の主張と一致しており、それを代弁してくれているという点において、「立憲民主党は自分(の政党だ)」と感じるからだろう。
実は、この事態を適切に説明する代表的な民主主義論がある。
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