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会見で謝罪する日大アメフト部の内田正人・前監督(右)と井上奨コーチ=2018年5月23日拡大会見で謝罪する日大アメフト部の内田正人・前監督(右)と井上奨コーチ=2018年5月23日

5月22日(火) 午前中、「報道特集」の定例会議。肋骨がめちゃくちゃ痛くて、咳をしたり、洟(はな)をかんだりすることができない。骨に響いて痛いのだ。まいった。午後一番で局の診療所に行き、整形外科の当番日だったので診てもらう。足と胸のレントゲンを撮ってもらうと、肋骨にはヒビとまではわからないが何か異変があるようにみえるという。貼り薬と飲み薬の両方を処方してもらう。大きなコルセットを胴体に巻いて貼り薬を固定された。こんなコルセットを着けたのは生まれてこの方ない。これが奇妙な装着感なのだ。姿勢を正されるというか。猫背にはなれないように背筋がのばされる。医師に「とにかく今は体を休めることが必要です」と言われたが。こんなタイミングに限ってやるべきことがやってくるものだ。あしたの愛媛県の中村時広知事取材は外せない。泣く泣くKさんの再出発祝いを延期させていただくことになる。ご迷惑をかけた。

 肋骨をいたわりつつ、局で何気なくテレビをみていたら、何と日大アメフトの悪質タックル事件に関して、当該選手が弁護士に伴われて日本記者クラブで記者会見を開いている。顔と実名をすべて公表しての記者会見である。思わず見入ってしまった。これはある意味でとてもすごいことが起きているのではないか。勇気がなければできないことだ。会見自体が急遽設定されたもので、きのう日本記者クラブから案内が来ていた。このような展開になろうとは。

選手と監督・コーチ、言葉の重みの違い

5月23日(水) 朝の便で松山へ。中村愛媛県知事へのインタビューだ。この知事は腹を括っているように見受けられる。その意味では潔い。同行しているKディレクターが県側に懸命に食い込もうとしている。午後3時半、県庁外での会合から出てきた知事に車に乗り込むまでのわずかな数分間を縫ってインタビューをする段取りを作り上げたのもKだが、何とその会合取材にNHK愛媛放送局が2カメも出していた。僕らは会場の外にいて、ずっと途中退出するはずの知事を待ち構えていたのだが、会場内にいたNHKのカメラマンが外で待っていた僕らに気づいて、強引に撮影に割り込んできた(文字通り、突進してきた)。あらら。まいったなあ。僕らはひたすら会場の外にいて知事だけを待ち構え、ユニ取材の段取りを準備していたので、こちらとしては困るのだが、完全拒否もできないし、する立場にもない。まあ、僕らが逆の立場だったら同じことをやっただろう。けれども何とかかんとか知事には、考えていたことの6割くらいは聞けたのでこれで満足すべきか。

 と、その直後、籠池夫妻に保釈決定が出たとの連絡が東京から入った。Kディレクターを松山に残し、僕とFカメラマンのクルーは大阪へと転進する。16時松山空港発、夕方17時10分伊丹着の便に飛び乗った。それで空港から大阪拘置所へ直行。拘置所前には大勢の報道陣が集まっていた。だが今日、籠池夫妻が出てくるという情報はない。何だかまったりとした空気が流れている。その日は夜まで待って宿舎のホテルまで移動。明日の早朝に出なおしてくることに。関係筋に取材を入れると今日の保釈はないのではないか、とのこと。

 夜、日大の内田監督と井上コーチが記者会見をしている。宿舎のホテルのある梅田の飲食店で飯を食いながらその会見のライブを携帯電話のワンセグでみていた。長い記者会見だった。結局は「指示はしていない」「潰せとは言ったが、ケガをさせろとは言っていない」など言い訳に終始していた。きのうの選手の記者会見とは何と違うことか。言葉の重みがだ。隣の席の女子会系の大ぜいのグループ客が、その携帯画面を目にしたのか「選手が可哀そうだよねえ」「監督ひどい」とか何とか酒を飲んで騒いでいた。自分も漂流している。

日大的なものとは?

5月24日(木) 朝、籠池諄子被告の弁護人が拘置所から出てきて記者たちが群がる。 ・・・続きを読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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