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異文化としての科学

内田麻理香

内田麻理香 内田麻理香(サイエンスコミュニケーター)

冒頭から私事で恐縮だが、最近和服に興味を持ち出した。思い立ったら止まらない、即行動したくなる性で、今は和服の初心者用の情報をあちこちから収集している。

本・ウェブの情報、古着屋さんの店員さんの言葉からは
「どうか和服を気軽に楽しんで欲しい」
「和服を好きになって欲しい」
「身近に感じて欲しい」
というメッセージが届いてくる。

 何かに似ているな、と思ったら、まさに科学コミュニケーションではないか。上の「和服」という言葉を「科学」に置き換えてもすべて成り立つ。科学コミュニケーションの目的は「科学への市民参与」「科学技術創造立国の復権」などさまざまあるが、その一つは「科学を身近な文化に」というものもある。和服はもともと日本の文化だったのに、今の私たちにとっては遠いものになってしまった。日常として使われていて、生活に寄り添っていたはずの和服が、である。実際、普段、我々が身につけているのは「洋服」である。

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