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原発の安全妄想、日本のさまざまな「甘い想定」

竹内敬二

竹内敬二 元朝日新聞編集委員 エネルギー戦略研究所シニアフェロー

 原子炉は危険な状態で一進一退を繰り返し、放射能の放出は止まらない。農業、漁業への影響は計り知れず、避難者は厳しい環境の中で先のみえない生活を続けている。これらを招いたのは、原発に対する「甘い想定」だったともいえる。あたかも「自分が解くことのできる問題を自分でつくって解く」ような作業だった。それを繰り返すうちに、社会全体が事故の本当の脅威を想像する力を失っていたのはないか。

  ◆全電源喪失はない

 福島第一原発の直下の揺れは約500ガルだった。これは「想定内」だった。原子炉は自動停止したが、周囲の地域が停電して「外部電源喪失」になってしまった。

 原発は巨大な発電所だが、停止中に外部電源が止まれば困った状況になる。核分裂が停止したあとも強い熱を発し続ける燃料の冷却が止まるからだ。外部電源喪失は大事故への第一歩だ。

 しかし、

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