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なんのためのスパコン世界一?

須藤靖

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 6月20日、ドイツで開催されたスーパーコンピューター(以下、スパコンと略す)の国際会議でトップ500のリストが発表され、理化学研究所と富士通が共同開発中の「京(けい)」が計算速度で第1位となった。ほとんどのマスコミは「世界一」という結果だけに注目し、2位じゃだめ論を跳ね返して得た快挙、日本の威信を守った、復興のばねに、といった印象を与える皮相的な論調であった。せっかく事業仕分けで論点とされた本質的問題が、すでに忘れ去られてしまったとすれば残念である。というわけで、今回はスパコン自体の性能よりもそれが持つはずの科学的意義という観点から、スパコン世界一の意味を論じてみたい。
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