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超光速ニュートリノの虚々実々(下)

内村直之 科学ジャーナリスト

 日本のマスメディアは超光速ニュートリノについて1日遅れで報道した。たとえば、各新聞は朝刊で以下のように伝えた。

『光より速い素粒子発見』 国際実験 相対性理論と矛盾(朝日新聞1面肩)

光より速い素粒子観測 ニュートリノ相対性理論と矛盾(読売新聞1面トップ)

『光より速く移動』ニュートリノ 特殊相対性理論覆す発見か(毎日新聞2面)

 『』をわざわざつけているのは「真偽はいざしらず、当事者の主張を伝えた」というニュアンスだろう。本記を受ける解説記事を見ると、「超光速本当か『1実験だけでは』専門家慎重」(朝日)、「衝撃データ『信じられない』 『SFの世界』現実に?」(読売)=毎日はなし=と、これも扱いとニュアンスの差が感じられる。元の論文やCERNのプレスリリース、ネイチャー誌やサイエンス誌など専門誌には見られないキーワード「タイムマシン」が入っているのが目を引く。その後の日経の社説などでも「タイムマシン」に言及していた。

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