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アルツハイマー病予防を目指す大規模臨床試験が始まる意味

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

アルツハイマー病の予防を目指し、今年の終わりから来年早々に米国の政府や財団がスポンサーとなって3つの大規模臨床試験が始まる。今回の臨床試験の大きな特徴は、まだ病気を発症していない健常者が対象であるという点である。つまり、アルツハイマー病を発症するまえに治療を施し、病気にならないようにしてしまおうという試みである。これまでは、予防治療といえば感染症のワクチン治療などがほとんどであった。しかし、これからの時代には、感染症以外の病気を予防するための医学・医療の発展が必要だと思う。それは国民の生活の質の向上につながるだけでなく、超高齢社会における医療費の負担などによる経済的圧迫を回避するためにも、重要な鍵を握っていると筆者は考える。

 アルツハイマー病を患う確率は、65歳以上では、5歳ごとに2倍になる。2055年には日本の全人口の40.5%が65歳以上になる(内閣府発行の2011年版高齢社会白書)ため、全人口の4〜5%(つまり20〜25人に1人)がアルツハイマー病患者ということになる。現時点で、アルツハイマー病に対する特効薬が存在しないことを考えると、これは恐ろしい数字である。

 一方、 ・・・続きを読む
(残り:約1520文字/本文:約2015文字)

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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

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