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いつまで続ける「優先座席の携帯OFF」

久保田裕

先日、東京メトロの優先座席付近に立っていたら、「ペースメーカーを使っています」と書かれたカードを首から下げている女性が乗ってきた。その女性は、優先座席に座っている人たち一人一人に、そのカードを見せながら、「携帯を切って下さい」と頼んで回っていた。

 そういえば以前も、優先座席に座っていた、いかにも機嫌が悪そうな中年女性が、その隣で携帯電話をいじくっていた若者に「携帯電話を切りなさい」と、しかりつけているのをみたことがある。その女性は、気の弱そうな隣の若者に対し「どうせそんなものでチョコチョコとゲームして遊んでばかりいるんでしょ」とか「本とか読んだこともないんでしょう」などと、余計な苦情までも、くどくどと述べていた。

 横で見ていて、ちょっと笑ってしまったが、この「優先座席で携帯OFF」ほど、守られていない「マナー」というのも珍しいのでないかと思う。大体、電車の優先座席やバスに乗る際に、携帯やスマホの電源を切っているという人を見たことがない。

 朝日新聞の投稿欄にも、ペースメーカーを使っている方から「私にとっての逃げ場所は優先席だけ。必ず携帯はオフに」といった苦情の投書がたびたび掲載されている。今この記事を、お読みなられている皆さんご自身は、どうだろうか。優先座席付近では、電源をいつも切っていますか?

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