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「国会事故調の意義を日本人はわかっていない」-委員長・黒川清さんのロングインタビュー(下)

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

――注目点の一つが、東電の全員撤退問題でした。国会事故調は「東電は当初から全員の撤退は考えていなかったものと認められ、菅総理の行動によって、東電の全員撤退が回避された、といった事実は認められない」と判定しました。

黒川 だから全員撤退だとかどうでもいいんだよ。退避でも全員撤退でもどっちでもいい(注:東電は「退避」と考えていたことを、官邸側が「全員撤退」と受け止めた)。東電のビデオを見たらわかることだけど、14日の朝の1時ぐらいに「全員退避ですか」ってある役員が発言した時に、清水(正孝・前東電社長)さんが「いや、まだそんなこと議論する時点じゃない」って言っている。その後に官邸に行ってるから。清水さんとしては、全員撤退はありませんよねって、全員撤退を考えていたわけじゃないんだけど、止むを得ませんねって言ってほしかったんだよね、たぶん。

――官邸にね。

黒川 そうそう。そっちに判断を任せようと思ってたのかもしれない。

――夜中に何度も電話をしたのは、全員撤退を認めてもらおうと思ってのことではなかった・・。

黒川 それは、解釈はいろいろある。「都合の悪いことは官邸の方に預けちゃおう」という気はあったかもしれない。清水さんはどうしたらいいかっていうことを言ってほしい、その気持ちはわからなくはない。そこまで証拠ないから、報告書には書いてない。

――それだと、なぜ清水社長があっさり「わかりました」といったか納得できますよ。ようやく返事をもらえたって感じだったんですね。

黒川 ぼくはそうだろうなあと思うよ。特に

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