2013年03月26日
公判開始が遅れたことよりもっと問題だと思うのは、昨年10月31日に扉が開いたまま上昇して女性が挟まれて亡くなるという、同様のエレベーター事故が再発したことだ。私は教員として技術者を育てる立場にあり、防がなければならない再発事故が起きたことに、少なからぬ動揺を覚えた。事故の原因が突き止められ、対策が取られ始めたばかりの再発事故だったからである。
平成18年の事故後、国土交通省は昇降機等事故対策委員会を設置し、平成21年9月8日に報告書をまとめた。1ページ目は、次の言葉だけが記載されている。
「本報告書の調査の目的は、本件エレベーター事故に関し、昇降機等事故対策委員会により、再発防止の観点からの事故発生原因の解明、再発防止対策等に係る検討を行うことであり、事故の責任を問うためのものではない。」
この言葉には、利害関係から裁判が長引くおそれがある中で、その動向にとらわれることなく、早期に原因を究明し、再発を防止しようという意志が読み取れる。しかし、事故は再び起きた。
私は
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