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2年前の惨状をテレビで見たとき,真っ先に感じたこと,それは「ああ,間に合わなかった」ということである。まさに慚愧に堪えない思いであった。私も災害用ロボット研究に2003年から関わったからだ。

 この年、電気通信大学に異動した私は,松野文俊教授(現京都大学教授)と出会った。松野教授は阪神淡路大震災で当時所属していた神戸大の教え子を喪ったことをきっかけに,レスキューロボットの研究開発を推し進めていた。私の博士課程の指導教官であった舘すすむ(日ヘンに章)・東大教授が「極限作業ロボットプロジェクト」でテレイグジスタンス(遠隔臨場制御)技術を開発したこともあり,ロボットの操作面で何かしら貢献できると考え、松野教授とともに「文部科学省大都市大震災軽減化特別プロジェクト(大大特)」に参加した。研究代表者は32人,研究分担者,研究協力者を含めると約300人もが2002年から5年間,関わったプロジェクトだった。傍目に観ても研究者・学生たちは熱意を持ち,日夜研究に勤しんでいた。また,研究のための研究とならないよう,現場のレスキュー隊の意見も適宜取り入れていた。

 今回福島第一原発に投入された国産ロボット「Quince」は千葉工業大学未来ロボット技術研究センター,東北大学未来科学技術共同研究センター,国際レスキューシステム研究機構(IRS)のグループによって2009年に開発された災害救助ロボットを改造したものであるが,メンバーは大大特プロジェクトのOBたちである。

拡大レスキュー隊との想定訓練=松野文俊京都大学教授提供

 しかし,私たちが目指したほどには、災害ロボットは活躍できなかった。そもそもプロジェクトを行う過程で以下の3つの障壁にぶち当たったのである。 ・・・続きを読む
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筆者

稲見昌彦

稲見昌彦(いなみ・まさひこ) 東京大学先端科学技術研究センター教授

1972年東京生まれ。99年東京大学大学院工学系研究科修了博士(工学)。マサチューセッツ工科大学客員科学者、電気通信大学教授、慶応大学教授などを経て現職。強化人間、自在化技術、エンタテインメント工学に興味を持つ。光学迷彩、動体視力増強装置など、空想と科学を繋ぐ技術を多数開発。

 

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