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認知症の超早期予防と地震予知

浅井文和 医学文筆家

 高齢者の7人に1人が認知症の時代を迎えている。

 65歳以上で認知症の人は462万人にのぼることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。これだけ多くの人たちの切実な課題になってきた認知症にどう向き合うのか。

 認知症の症状が出るよりも前に発見する超早期発見と予防の考え方がある。その発想は、どうも地震予知研究に似ているように感じる。「できたらいいと誰もが思うが、現実にはきわめて困難」であり、一方で「別の発想から被害を減らすための方策はさまざまにとれる」からだ。

超早期に発見して予防する?

 認知症の多くを占めるアルツハイマー型認知症では、アミロイドβというたんぱく質が脳にたまることがわかっている。アミロイドβの蓄積は認知症発症の10年以上前からと考えられていて、PET(陽電子断層撮影)などの画像診断技術を使って、超早期に蓄積を見つけ、薬を使って認知症に進むのを食い止めようというアイデアがある。

 米国や日本でこのような超早期発見、予防に向けた研究が進んでいる。

 まだ分からないことだらけの脳に研究者が挑戦すること自体は必要だ。ただ、過度な期待は禁物だと思う。

 まず、アミロイドβの蓄積と認知症の症状との関係がそんなにわかっているわけではない。認知症の取材をして思うのは、ひとりひとりの症状の多様さだ。画像診断では重いとみられても実際には症状が軽い人もいれば、その逆もある。果たして画像で見えていることが症状にどれくらい結びつくのか。また、薬の開発も、これまで長年多くの試みがあったが、うまくいっているわけではない。

 日本はこの50年間、地震予知に取り組んできた。 ・・・続きを読む
(残り:約1297文字/本文:約2001文字)

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筆者

浅井文和

浅井文和(あさい・ふみかず) 医学文筆家

元朝日新聞編集委員。1983年に朝日新聞入社。1990年から科学記者として医学、医療、バイオテクノロジー、医薬品・医療機器開発、科学技術政策などを担当。2017年1月退社。連載記事「患者を生きる」「がん新時代」「認知症とわたしたち」などに参画。

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