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[3]人間の都合×自然のロジック

星川 淳 作家・翻訳家、一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事

 先日、作家としては久々の新刊となる小説第2作『タマサイ 魂彩』(南方新社)を上梓した。
タマサイ80冊以上の著作の中で小説としては2冊目となる『タマサイ 魂彩』

 せっかちな性格に似合わず、前作『ベーリンジアの記憶』(幻冬舎、現在は電子版として自家復刊)以来、取材期間を含めて18年も温めた作品だが、それだけ時間が経つと時代の変化によって内容のアップデートを迫られることがいくつかあった(ちなみに、そろそろ40年に近づく物書きのキャリアで80冊を超えた著訳書のうち、フィクションの自著はこの2作のみ)。

 一つは登場人物たちが使うモバイル端末の変化だ。最初は旧式の指押しケータイで、パソコンもネット環境はISDN(若い人は知らないだろう)。旅先でメールをダウンロードするには、公衆電話のISDN端子につなぐなどという詳細を書き込んだりしていた。ややしばらくすると、ブラックベリーなるものが一世を風靡し、海外の友人にはそれを駆使させることにした。やがてそれも古くなり、

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