メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

バリ島沖ダイバー遭難事故を検証する

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

 インドネシアのバリ島沖で、2月14日、日本人の女性ダイバー7人が遭難した。7人のうち2人は地元のダイビングショップ「イエロースクーバ」のインストラクターである。5人が生還したものの、1人死亡、1人行方不明という大きな事故になった。私は25年以上、インストラクターとしてダイビングに関わってきた。このような事故が起きてしまったのは大変残念としか言いようがない。私は直接の当事者ではもちろんないが、事故を防ぐことはできなかったかという視点から、公開情報などを基に、この遭難事故を検証してみたい。

 簡単に事故の状況を振り返っておく。遭難から28時間漂流した後、7人のうちインストラクター1人を含む5人は、ダイビングスポットから約20km離れたペニダ島南岸で発見され、17日に救助された。残り2人のダイバーのうち、1人はバリ島沖にて遺体で発見され、もう一人のインストラクターは、その後の捜索にもかかわらず、未だ見つかっていない。また、地元警察

は21日、ダイバーを死亡させた業務上過失の容疑により、ダイビングボートの船長を逮捕した。

 まず、ダイビングには、海に入って出てくる(エントリー・エクジット)方法に、大きく分けて3通りあることを説明したい。

 一つは、陸から海へエントリーし、海中を移動した後、陸へ戻ってくる方法(図1)。この時、

・・・ログインして読む
(残り:約2283文字/本文:約2851文字)