2014年03月10日
2月28日、3月1日の両日、東京・新宿で二つのプログラムの成果を報告する大規模なイベントが催された。研究成果発表、パネル討論、ポスター展示、ワークショップにフォーラムと盛りだくさんの内容で、2日間で延べ1400人が参加した。
若手研究者からは「こうしてお互いが交流する機会が実施期間中にもあれば良かった」という声が聞かれた。自分の研究に専念するように求められたために、研究チーム以外の人たちとの交流が乏しい日々を過ごした人が少なくないようだった。大学の中には、大型研究費を得た若手を支援しようとせず、ある種の「いじわる」をしたところもあったことが、FIRSTシンポジウム事務局が実施したNEXT研究者アンケート結果から浮かび上がる。各都道府県で最低1人は選ぶという方針だったために、中には周囲からねたまれてしまった人もいたのかもしれない。もっとも、このアンケートでは8割以上が制度として「よかった」と答えており、大半の研究者は自由に使える多額の研究資金を活用できたことが伺える。
2009年は、自民党から民主党への政権交代が起きた年である。5月、当初構想の3000億円から1割減って2700億円の「研究基金の新設」が盛り込まれた補正予算が成立した。トップ研究者30人に平均90億円ずつ配るという、それまでにない巨額、かつ個人の研究者の裁量を大幅に認めた野心的なプログラムだった。「基金」とは予算の単年度主義にとらわれず、お金をプールして使えることを意味する。
しかし、真夏の総選挙で自民党が大敗北し、政権交代が起きた。民主党政権は予算をそのまま認めず、総額を1500億円に縮小、さらに、うち500億円は若手と女性研究者を支援するプログラムに使うように変えた。こうして、「満45歳以下、女性は年齢制限なし」で1課題あたり5000万円×年度数、上限2億円まで出すNEXTが誕生した。一方、FIRST研究者への研究費は平均90億円から平均33億円に減った。
それでも、個人の研究者に配分される金額としては破格の多さである。しかも、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください