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東芝の半導体技術漏洩事件の背景にあるもの

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

 たまたま講演のために1泊2日で韓国を訪問している最中の3月13日に、東芝の半導体メモリNANDフラッシュの研究データが韓国SKハイニックスに漏洩し、情報を流出させた容疑で日本人技術者が警視庁に逮捕される事件が起きた。

 NANDフラッシュは、スマートフォンやUSBメモリに使われている半導体メモリで、今後はPCやサーバーなどのハードデイスクドライブを代替していくことから、市場規模の急速な拡大が期待されている。

 世界シェア1位はサムスン電子、2位は東芝で、両社の差はわずかである。また、3位は米マイクロンテクノロジー、4位がSKハイニックスで、3位と4位の差もわずかである。つまり、非常に競争が激しい半導体メモリ分野で、今回の事件は起きた。

 本稿では、今回の事件がどのような過程を経て起きたかを振り返り、その上で、本事件の背景には、日韓の技術に対する考え方の大きな相違があることを論じたい。

 まず推察するに、

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