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来年は一気に日本並み原発容量、中国は大丈夫か

団藤保晴(ネット・ジャーナリスト)

 中国の原子力発電が急拡大、2015年には一気に日本の48基並み発電容量になる。福島原発事故による足踏みを脱して大型新型炉ラッシュだ。未経験炉に運転員の即席養成、運営の透明性不足、安全確保には疑問符だらけ。3月に運開した広東省・陽江原発1号で18基1586万キロワットの現状を、来年には40基4000万キロワット、2020年までには6000万キロワットにする計画が進む。まず、その建設ラッシュぶりを3月末時点での原発建設と運転開始の動きをまとめた地図で見よう。

 年内に各地で続々と運転開始だ。中国での運転が世界初の2機種を始め主流国産型も新型炉で他人事と思えぬ危うさ満帆である。日本の原発ならフルパワーで長期継続運転が当たり前ながら、電力事情が悪く停電が発生しがちな中国では、無計画停電発生すなわち外部電源喪失のたびに原子炉の緊急停止、非常用発電機を含む炉心冷却用電源の確保、再立ち上げと煩雑な操作を繰り返さなくてはならない。安定稼働実績が無い新型炉でこれを頻繁にするのは実地テストにはなるものの対応する運転員も含めて過酷と言うしかない。

 福島原発事故の後では2013年2月、遼寧省の紅沿河原発が最初の運開、次いで福建省の寧徳原発、2014年に入って紅沿河2号、そして陽江1号。以上の4基は「CPR1000」と呼ぶ仏アレバ社の加圧水型原発を国産化した百万キロワット炉で、最初に造られた嶺澳3号(広東省)から数えて4年に足りぬ稼働実績しか無い、まだ新しい機種である。陽江原発の写真を引用する。

 CPR1000は年内さらに福建省の福清原発が運開予定。そしてこの後、浙江省の三門原発と山東省の海陽原発で、世界でまだここだけの第3世代加圧水型炉「AP1000」が運転されることになっている。115万キロワットの大型炉で、東芝グループの米ウェスチングハウス・エレクトリック社がこれまでの経験を注ぎ込んで、運転員の操作や電源がなくても

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