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水抜き後の井の頭池はどう変わるのか?

米山正寛 朝日新聞DO科学編集長

 東京・井の頭公園の井の頭池で今年の1月下旬から、水を抜いて池の底を空気にさらす「掻い掘り(かいぼり)」が、約40年ぶりに実施された。2017年の開園100周年を間近に控え、汚れた水質を浄化し、増えた外来魚を駆除することが大きな目的だったが、水のなくなった池から投げ捨てられた大量の自転車が見つかるなど、思わぬ形でも注目を集めた。ただし水が抜かれたのは約1か月余りだけで、3月下旬~4月上旬のお花見時季は例年通りに池に多数のボートが浮かぶ賑わいを見せ、公園の風景はもういつも通りに戻っている。しかし、私たちに見えない池の中では、新たに大きな変化が起こっているのかもしれない。

水を抜いた池で捕獲された魚のうち、外来魚は駆除の対象となった拡大水を抜いた池で捕獲された魚のうち、外来魚は駆除の対象となった
花見の時季には池の水が戻り、たくさんのボートが浮かぶにぎわいとなった拡大花見の時季には池の水が戻り、たくさんのボートが浮かぶにぎわいとなった

 

 井の頭池は、もともと湧き水によって育まれ、そこに在来の水生植物や魚・エビなどがすんでいた。都市化の進行で周辺がアスファルトやコンクリートで覆われるなどしたため、地上からの浸透水が減るに従って湧水も減少してしまい、現在は地下水をポンプで汲み上げて供給している。それでも、かつての湧水量を補うことはできず、神田川へ流れ出るまでの滞水期間が延びるにつれて水質は悪化してきた。また、放たれたコイやソウギョが豊かだった水生植物を食い荒らし、2000年代になってからは魚食性外来魚のオオクチバスやブルーギルが増えて、モツゴやトウヨシノボリなどの在来魚の減少につながった。

 本来あったはずの池の生態系が乱れてきた惨状に危機感を抱いた地元では、自然保護団体や東京都西部公園緑地事務所などが協力し、水鳥への餌やり(水質悪化をもたらし、水鳥の行動にも悪影響を及ぼす)の中止、水質浄化装置の設置、湧水量を増やすための雨水浸透桝の設置、外来魚の捕獲といった策を講じてきた。だが、 ・・・続きを読む
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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 朝日新聞DO科学編集長

朝日新聞科学医療部記者兼DO科学編集長。朝日新聞の科学記者を経て公益財団法人森林文化協会へ出向し、事務局長補佐兼「グリーン・パワー」編集長を務めた。2018年4月から現職。ナチュラリストを夢見ながら、とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せて取材活動を続けている。

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