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下村大臣の小保方さん検証実験参加要請は筋が通らない

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 下村博文文部科学相は17日の記者会見で「理研は小保方さんの活用を考えながら、一日も早くSTAP細胞を証明する努力をする必要がある」と述べた。「小保方さんでなければSTAP細胞を証明するのはより困難」とも語った。前日に若山照彦・山梨大教授が記者会見で「自分はいくらやっても再現できなかった。できるという人は小保方さん1人。小保方さんができることを証明していただかないと」と話したのを受けてのことだ。しかし、いくら理化学研究所の所管大臣とはいえ、いや、所管大臣だからこそ、これは言うべきことではない。現在、理化学研究所の懲戒委員会が検討中の事案について「横から」ではなく「上から」口をはさむ悪影響をどれだけ自覚しているのか。対等な立場の科学者が議論して進んでいくのが科学である。組織上、上位に位置する大臣があれこれ言うのは、しかも科学的な理解が乏しいままに言うのは、百害あって一利なしだ。

 大臣が検証実験への小保方さんの参加の必要性を言い出したのはこの日が初めてではない。共同通信によると、小保方さんが論文取り下げに同意したことが明らかになった6月4日に「小保方さんが先頭に立って理研の中で再検証をし、自ら証明することを期待したい」と述べている。論文取り下げについては「適切な判断だった」と述べながら、「STAP細胞そのものが否定されたとは思っていない」と話し、「証明をする必要があり、それを小保方さんにお願いしたい」と言った。

下村博文文科大臣

 3日の記者会見では、そんなことは言っていない。

 「それは専門的な理研のスタンスですから、調査をするかしないかは、その内容によって理研が判断されることでありますけれども、ただ、いずれにしても、国民が納得できるような対応を理研はとっていただきたいということであります」(文部科学省の会見記録)と言っているだけだ。

 だが、4日から小保方さんの名前を出すようになり、6日の記者会見では以下のように話した

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