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イノベーションをいかにして生み出すか

奈良先端大東京フォーラム2014で見えてきた方向

高橋真理子 朝日新聞 科学コーディネーター

 イノベーションをもっと生み出さないと、という声は耳にタコができるほど聞いた。イノベーションが生まれるようにと政府はあれこれ手を打ってきている。2001年に発足した総合科学技術会議が、2014年に総合科学技術・イノベーション会議と改名したのは、その象徴だ。だが、どうもうまくいっているようには見えない。どうしたらいいのか。10月に開かれた奈良先端大東京フォーラム2014「未来の創造」(奈良先端科学技術大学院大学主催、朝日新聞社共催)では、そこが議論の焦点になった。

拡大10月15日、有楽町朝日ホールで開かれた奈良先端大東京フォーラム2014

 野間口有・三菱電機相談役/産業技術総合研究所最高顧問らが参加したパネル討論のハイライトは、奈良先端大の小笠原直毅学長が「本学では本当に成功したベンチャーの事例はまだ生まれてないと思う」と率直に語ったときだろう。「事業設計が甘かった」(小笠原氏)「トップダウンの大学発ベンチャー作りというところに最大の無理があった」(科学ジャーナリスト尾関章氏)などの「敗因分析」が出た一方、「まだトライアルの最初のステージなので、結論づけるのは少し早い」(高橋真木子・金沢工業大教授)と、大学ベンチャー擁護論も出た。

 大学主催のシンポジウムは、えてして大学の宣伝に終始しがちだ。しかし、そうはせずにありのままの現状を議論の俎上にのせた小笠原学長には敬意を表したい。その英断があって、今回の討論はスリリングで実り多いものになった。

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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) 朝日新聞 科学コーディネーター

朝日新聞 科学コーディネーター。1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)などを務める。著書に『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

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