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科学技術の軍事転用問題を考える

「両義性(デュアルユース)に留意する」とはどういうことか

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)副センター長・教授

 2015年1月、東京大学が「軍事研究禁止」の方針について、「一部緩和」との報道があったことに対し、「軍事研究禁止」の原則に変更はないが「(学問研究の持つ)両義性(デュアルユース)」に留意すべき」とのメッセージを総長名で発表した(1月16日) この報道に接し、改めて科学・技術の両義性について考えてみたい。

科学・技術者もしぶしぶ参加したのではない

 「科学は人類の発展の大きな原動力であったが、科学の発展を促進させたのは『戦争』であった」(アーネスト・ヴォルクマン「戦争の科学」、2003年)

子どもたちに人気のロボット「アシモ」も、軍事と無縁ではいられない。軍事技術に取り込もうと関心を寄せる人たちはいる。

 この記述にあるように、そもそも科学技術と軍(戦争)との関係は極めて深いし、軍事転用できない科学技術など存在しない、と言い切ってもよい。言い換えれば、

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