不便な体験だからこそ風化を防ぎ、現状を再確認し、防災訓練にもなる
2015年03月11日
東日本大震災と福島原発事故から4年が経った。復興が進む一方で風化が進んでいる。
復興と風化は表裏一体だから、人々の関心度が風化していくのは仕方ない。だが、事故対策や被害の追跡調査・補償の進展に比べて風化が早すぎると感じているのは私だけではあるまい。地球科学者の視点に限定しても、汚染地域の長期科学データ取得体制と、防災的な連続監視の両方が不十分なまま、それらを推進する「世論」が弱まりすぎだと感じるのだ。
『福島原発放射能汚染の情報発信の場となった欧州地球科学総会』にも書いたように、人類史上2番目に深刻な汚染を起こした国として、日本には、世界のどこかで将来起こるであろう事故に備えて福島原発起源の放射性物質が地球でどう循環するかを調べ対策を立てる義務がある。一番問題になる放射性セシウムは半減期30年の水溶性物質である。汚染地の雨水の行き先全てに対して長期動向を調べることが不可欠で、この研究は科学的価値も高い。それはチェルノブイリ事故による汚染の経年変化の研究が今も続き、論文や学会発表が次々に出ていることからも伺われる。
この種の研究には超長期の連続観測(モニター)が不可欠だ。放射能の拡散の監視という意味も含めて、準リアルタイム(せいぜい数時間遅れ)の観測(準リアルタイム・モニター)が求められることになる。それには研究費とは別枠のモニター予算が必要となるのだが、組織的バックアップはゼロに近い。福島大学に環境放射能研究所はできたが、あくまで大学付設で、モニターの維持に必要な長期予算の保障を受けていない。三春町に福島県環境創造センターが今夏開設予定だが、これも4年間の計画しかできていない。そんな状態で世論が醒めてしまったら、不十分ながらも稼動しているモニターすら維持が覚束なくなる。
世間では誤解があるようだが、データ取得と研究は別物である。特に長期モニターや監視のためのモニターはインフラの一部であって、日本に限らず世界のほとんどで公的機関の職員(非研究員)が取得している。例えば気象庁のアメダス基地がそうだ。
一方で、
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