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拝啓ホリエモン殿、電子書籍は売れていませんが?

「マーケットは立ち上がっている」との断言から3年半後の惨状

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

 2009年8月に、私にとって初めての本『日本半導体敗戦』を光文社から出版した。いまどき「半導体」などと小難しい言葉がタイトルに使われている本は売れないと言われたが、予想に反して5万部近くも売れた。

 翌2010年には、私の本を編集してくれた山田順氏が独立し、(株)メデイアタブレットという電子書籍の会社を立ち上げた。私も一口、出資金を出して役員となり、この会社で『日本半導体敗戦』を電子書籍として販売した。

 2010年は、米アップル社からiPadなどが発売され、電子書籍元年と言われた年である。たくさん売れたら皆でハワイや沖縄に別荘を作ろうなどと皮算用をし、いやが上にも期待は高まった。ところが、1年間でダウンロードされた『日本半導体敗戦』はたったの5部だった。40冊ほど手がけたそれ以外の電子書籍も軒並み数冊、良くて数十~千冊程度しか売れず、期待はもろくも崩れ去った。

 この経験を基に私は、「電子書籍が売れない国、日本」という記事を書いた(WEBRONZA 2011年11月03日)。

 この記事に対して、当時、刑務所の中にいたホリエモンこと堀江貴文氏が、「堀江貴文のブログでは言えない話 Vol.096 その1、2011年11月22日」の中で、批判を述べている。以下、関係する部分を引用する。

★【Amazon電子書籍への参入条件に出版業界困惑】
Amazonが日本の出版社といろいろともめてkindleの日本語版も遅れているらしい。強気の価格設定と再販制度等の問題とか。朝日新聞では、湯之上隆という人物が自分の書籍が紙では5万部売れたのに電子書籍では5部しか売れてないことを引き合いにし、「日本で電子出版は普及しない」とかバカなことを言っているし。そりゃ、あんたがネットで全然知名度もないし、活動してねーからだろ(笑)。すでにこのメルマガは1万部以上、しかも週刊で出ている。iPhoneのアプリも、書籍によっては紙の本の半分ぐらいの部数は出ている。すでに日本の電子書籍マーケットは立ち上がっているのだよ。Amazonはそれを後押しすることだろう。(原文ママ)

 私は堀江氏に対して、若いのに頭もよく行動力もあって大した人物だと密かに敬意を抱いていた。ところが、「そりゃ、あんたがネットで全然知名度もないし、活動してねーからだろ(笑)」と批判され、ココロがいたく傷ついた。確かにそれはその通りなんだけれど、メデイアへの

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