韓国は受診率向上 日本もがん対策に戦略性を
2015年04月23日
国立がん研究センターが4月20日、胃がん検診ガイドラインの2014年度版を公表した。
市区町村が実施する胃がん検診に、初めて胃内視鏡検査を推奨した。内視鏡検査の対象者は、50歳以上が望ましく、検診を受ける間隔は2~3年でもよいとしている。
前回の2005年度版ガイドラインで推奨されたのは、バリウムを飲んで実施する胃X線検査だけだった。内視鏡を口や鼻から入れて胃の中を調べる内視鏡検査は「死亡率減少の効果の有無を判断する証拠が不十分」とされていた。
ただ、同センターのガイドラインは学術的な政策提言という位置づけだ。
市区町村が実施している胃がん検診に内視鏡検査を導入するかどうかは、専門家による厚生労働省の検討会で議論されている。全面的に導入するためには、担当できる医師の数が足りない、検査費用がかさむ、などの課題がある。検討会では今夏をめどに方針を決める予定だ。
現在、胃がん死亡率減少を目指して市区町村が実施する「対策型」の胃がん検診は、厚労省の指針に基づいて、40歳以上の住民を対象にX線検査を年1回実施している。ただ、独自に内視鏡検査を導入している自治体もある。
胃がん検診ガイドラインをまとめたのは、国立がん研究センター検診研究部の斎藤博部長を主任研究者とする研究班だ。国内外の最新の研究報告を調査した。
2005年度版が改定されて、内視鏡検査が推奨されたのは、内視鏡検査について近年、新しい報告が出てきたからだ。
2013年に報告された韓国で実施された胃がん検診の効果に関する20万人規模の調査結果では、X線検査と内視鏡検査の双方で、胃がん死亡率減少の効果が認められた。内視鏡検査で57%、X線検査では7%胃がん死亡率が減少した。
国内でも、新潟市で実施された5万人規模の研究で内視鏡、X線検査ともに胃がん死亡率減少が確かめられた。内視鏡検査で57%、直接X線検査で32%、間接X線検査で15%の減少になった。
さらに研究は必要だが、内視鏡検査は胃がん死亡率を減らすのに役立ちそうだ。ほぼ半減というのは効果が大きい。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください