日本が率先して核の傘から脱却を
2015年04月28日
核不拡散条約(NPT)再検討会議が2015年4月27日から5月22日にわたって、ニューヨークの国連本部で開かれる。再検討会議はNPTにとっては5年毎に開催される重要なイベントであり、今年も最終文書に合意できるのか、どのような合意文書が採択されるのか、が注目される。
2010年には64もの項目からなる「行動計画」が最終文書で合意された。今回は、まずこの行動計画について、各国の履行状況が報告されることになる。NPTは、核兵器国による軍縮、非核兵器国の核保有防止(核不拡散)、そして原子力平和利用の協力推進、という3本柱により構成されている。しかし、その究極的な目的はやはり核兵器の廃絶であることを、2010年の合意文書は明らかにしている。行動計画のアクション1に「すべての加盟国は、NPT及び核兵器のない世界という目的に完全に合致した政策を追求することを誓約する 」と明記されているのだ。これは、核保有国のみならず、非核保有国にとっても履行すべき項目である。いいかえれば、日本のように、核廃絶を追求する一方で、核抑止力(「核の傘」)に依存している国にとっても、その政策を転換すべき、とのメッセージなのである。
このいわゆる「核のジレンマ」(核廃絶と核抑止依存の安全保障政策)をどう解決するのか?緊張が増す北東アジアの安全保障環境の中で、「核の傘」から脱却することは可能なのだろうか?こういった問いにこたえるべく、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)では、2012年の設立以来、3年間の研究をもとに、このたび「提言;北東アジア非核兵器地帯設立への包括的アプローチ」という報告書を発表した。
この提言は、日本、韓国、北朝鮮が非核地帯を形成し、中国、ロシア、米国という周辺核保有国が非核地帯への核脅威を与えない、といういわゆる「スリー・プラス・スリー」構想に基づくものだが、北朝鮮の非核化のみを目指すのではなく、北東アジア非核化に密接に関係したいくつかの安全保障上の懸案の同時解決を目指す「北東アジア非核化への包括的枠組み協定」の締結を目指す点が新しい。以前米国と北朝鮮が合意したような「枠組み合意」よりも拘束力を持たさなければいけないが、一方で議会の批准を必要とする「条約」では、議会との折衝の必要性等、政治的には不確実性が高すぎる。そこで、「拘束力をもつ首脳レベルでの署名で発行する協定」という位置づけの新協定を提言した。
この「枠組み協定」には、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください